もしあなたが【短編２】

-Sh#5- ページ3

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Sh#5の場合



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鬼上司の無茶苦茶な要望に
なんとか応えることができた私は
ヘトヘトになりながら帰宅


お風呂にお湯を入れ
夕飯を作るために冷蔵庫から食材を取り出す。


包丁を取り出し食材を切ろうとしたら
突然後ろから誰かに抱き着かれた。



誰かって彼しかいないんだけど



髭が顔にあたって痛い



「ただいまA」


『宣浩さん、おかえりなさい』


「A〜疲れた」


『い、痛い、宣浩さん、髭が』


「あーごめん」


『今から夕飯作るので先にお風呂入ってきてください』


「おう」



宣浩さんは素直に私から離れ
着替える為にズカズカと大股で部屋に入って行った

それを見届けた私は夕飯を作り始めるけど
数分後にまた抱き着かれる。



「風呂一緒に入らん？」


『入りません』


「えー」


『えーって言われてもダメです』


「Aが一緒じゃないと入られへん」


『子供じゃないんだから』


「子供やで」



四捨五入したらアラフォーでしょ
というツッコミは彼を傷付けそうなので飲み込む


駄々をこねる宣浩さんを無視して料理するが
なかなか諦めてくれない彼は私の首に顔を埋めてきた。


髭が首筋にあたって痛い



「なぁ」


『はい』


「上林と仲良いんやな」


『上林くん？』


「Aの頭撫でとった」


『......見てたの』


「あいつ絶対Aに気があるわ」


『えーありえないよ』


「Aは鈍いからな」



そのセリフ、あなたにだけは言われたくないです。



「Aは俺のやのに」


『宣浩さん？』


『周りに付き合ってることバレんよう
仕方なく俺はAに冷たく接してんのに」


『そうだね』


「Aの頭撫でやがって」


『まさか、上林くんに嫉妬してるの？』


「......しとる」


『ふふふっ』


「笑うな」


『ごめん』



どうしようも無く宣浩さんを愛しく感じ
私は身体を彼の方に向き直す

彼の首に手を回し見上げると
ぶ厚い唇が私の唇と重なる

何度か熱い口付けをした後
いつもより強めに抱き締めてくれた。



『上林くんとはただの同期だよ』


「わかっとる、けど」


『宣浩さんは子供だねー』


「...............」


『仕方ないからお風呂一緒入ってあげる』


「ええの！？」


『宣浩さんお子様だからね』


「よっしゃ」



お子様と言われたのにこんなに喜ぶ人は
きっと彼しかいないと思う


ウキウキしながらお風呂場に向う彼の背中を私は追いかけた。

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