恋を知るちぐはぐ 【ヒソカ】

Twentyfive 彼の選ぶもの ページ26

「これと……これとこれ、試着してきて♠
あ、あとそれも◆」

『ヒソカさん……私もう持てない』



いつぞやの百貨店に、今度は自分より頭一つ分大きい人と並んでいる。
私よりも真剣に選んでくれているヒソカは、ぽんぽん考えなしに私に手渡してくるのだ。

私が手持ちいっぱいの声を出すと、「もうしょうがないなぁ」なんて言ってもう一着重ねられた。
違う、そうじゃない。



「着替えれた？♥」

『ん』

「……次♠」

『あい』



一着目、赤。×。



『どーう？』

「んん、却下かな◆」



二着目、黒。×。



『これ、私は可愛いと思、』

「幼稚だね♧」

『……はい』



三着目、ワンピース。×。



『あいつ水着選びにどんだけ熱かけてんだ』



次の水着に着替えながら、1人更衣室の中で愚痴をこぼす。
大体、海に行きたいって言っただけでこんな真剣なるか？



『着替えるだけで疲れるんだから……』



余る、残り一着は、淡いピンクの水着。
谷間部分が少し深めでアシンメトリのフリルがあしらわれている。
パンツは少しハイウエストになったシンプルな形。

あーあ、イメージがまるでヒソカみたいなんて考えてる私がいる。



『……どう？ ヒソカ』

「……ん♥」

『私、これが良い』

「うん、いいね♥」



ヒソカも、どうやらこれが一番良かったみたい。
私とヒソカって、どこか似てるよね。



「じゃ、ボクも水着選ぼうかな」

『えっ！ 私も行く！』

「君にはボクのは選ばせてあげないからね」

『え〜ずるいっ』



そんな事言いながら、メンズ用へ移動する。
……うっ、何か恥ずかしい。

メンズに来た事で気付いたけど、ヒソカはやっぱりどこに行っても注目の的だ。
主に女の人達から羨望の眼差しで見られる。
何となく優越感に浸ってしまうのは、許してほしい。



『ねね、これは？』

「ボクに緑は似合わないよ◆」

『これなんかどう？』

「うーん……ださいかな？♠」

『ガーンっ』

「口で言わないの◆」



それから数十分。
ヒソカのは中々決まらなくて(というかこいつがこだわり過ぎて)。

レディース持ちながらメンズを探すアラサー。



「……あ、」



……突然、2人して、同じものを手に取る。
それは、私とお揃いのメンズの水着で。



『2人一緒に指差したね、あっはは……っ』

「そうだね……ハハ……っ……あーおっかしい……♥」



迷わず、それに決めたんだけどね。

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