恋を知るちぐはぐ 【ヒソカ】

Twentyfour 夏なので ページ25

『あづい……』

「ボクも♧」

『じゃ離れて』

「やーだ♥」



東洋でいうと、月は文月の末。
夏、真っ只中。
皆が花火だ、祭りだ、何だとはしゃいでる中
私の彼氏はそんなものには興味がないらしく。

蝉の声だけがみんみん騒がしく鳴り止まず
冷房の効かない部屋で抱きつかれている。



『文句言うな、溶けちゃうでしょ』

「Aとならボクはいつでも溶け、」

『アイス』

「……あ、そう♥」

『…何？』

「アイスの棒咥えてるって…何だか卑猥だ、」

『地獄に堕ちろ』



というか、何で部屋の中に居るのに
こんなに汗ダラダラかきながらアイス食わなきゃいけないわけ？

冷房壊れた、とかふざけんなよまじ。



『あ〜もういや……海に行きたい
祭り行きたい、花火行きたい、山行きたいビール飲みたい』

「最後もうお出かけじゃないじゃないか◆」

『いいじゃん……あっBBQもしたい』

「やりたい事が多いね……若者は♠」

『何おじさんみたいな事言ってんの
……あ、ヒソカもうアラサーだっ、』

「ボクだって秘密にしてる事はあるんだよ？♧」

『……すみませんでした』



すかさず抱きしめられていた腕に力がこもる。
……死亡フラグたった。完全に殺意があるよ。



「行きたいのはわかるけどそんなの暑いだけじゃないか♠」

『何が！ 海に行けば涼しいでしょ？』

「ボクは海は嫌いなの♧。裸になっちゃうし♠」

『はんっ、年中露出狂が良く言うよ』

「今ここで犯ってあげてもいいんだよ？♥」

『……海に行けば私の水着が見れる
祭りと花火は浴衣が見れる
山に行けばキャンプができる
キャンプが出来るという事はつまり、お泊り！

……さぁどうよ、全部ヒソカの良いものばっかり、』

「よし、全部行こう」

『決断早ッ！？』



真剣な顔してそんなこと言うもんだから突っ込んだ直後に吹き出してしまった。
まぁ、全部とはいかなくてもどっかは行きたいよね。



「せっかく行ってあげるんだから
ボクに水着と浴衣は選ばせてね？♥」

『えっ、でも私今は一着も……』

「もうバカだなぁ……買いに行くんじゃないか♠」

『えっ……いつ？』

「今♠」

『……うん？』

「今♥」

『……ちょっと急すぎやしませんか、私まだ化粧も何もしてな、』

「つべこべ言わずに、行くよ◆」



……抱きしめられていたのが、いきなり立ち上がって手を握られる。

そのまま、暑い部屋から逃げるように出た。
あ、食べかけのアイス食べられた。

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