恋を知るちぐはぐ 【ヒソカ】

Nineteen こくはく、リターン ページ20

『……っあの、私
告白されたことなんて一度も無くって』

「うん◆」



所謂、壁ドンというものをされて自然と距離が近くなる。

優しげに返してくれているけど、この体制の時点でアウトだよ。



『……ヒソカは、格好良いし優しいの
私なんかじゃ釣り合わないよ』

「……♠」



断りの返事を言えば何故か帰ってこない言葉。

見上げると、壁に手をついたヒソカがこっちを見て不機嫌そうにしてた。



「どうして？◆ ボクじゃ不満？♧」

『そうじゃなくてさ、私じゃ勿体無い…』

「ボクの事、キライ？◆」



……この言い方は、反則。

本当は、薄々気付いてた。
気付きたくなかった。

初めて会った時から、優しいヒソカ。
皆とは違う、ヒソカへの気持ち。



『キライじゃ、ないよ』



―…でも、言っちゃ駄目だ。たった“2文字”を。



『だけど、私とヒソカは友達だよ。ただの』



もう一回、ヒソカの顔を見て言うと。

その次には彼の勝ち誇ったみたいな顔。



「…そう言えば、ボクが諦めると思ったかい？♥」

『え、』

「ボクは君が思ってるよりずっと君が好きだよ、A♠」

『……っ』



駄目だ。
今のヒソカは奇術師なのに。

彼の仮面が外れた時の顔を、知ってしまった。



「ボクは……Aの事を一生懸命守るよ♠
望むなら何だってしてあげる
誰よりも、幸せにしてあげるから、ねぇ」



「ボクの恋人になってください」



まるで王子様みたいに私に傅いて、手の甲にキスするもんだから。



『……はい』



私の中の、違う私が、勝手に返事をしてしまっていた。

……しまった、
はっと顔を上げた時には、今日一のふにゃふにゃのヒソカの笑顔。




「……じゃ、決まりだ♥」

『違ッ、今のは……！』



珍しく真剣な顔して格好良い事言うんだもん。
自然と口がいう事聞かなかったんだよ。



「大丈夫、絶対後悔させない♠
ねぇ、好きって言ってよ◆」

『…………っだぁーもうっ！！
ずっと前からヒソカが好きですっ
正直めちゃくちゃ嬉しいし、今もちょっと震えてるし、
……し、しあわせに、してくださいっ！』



やけくそになってそう言ったら、
体を引っ張られて。

気付いたら、ヒソカの腕の中に居た。



「絶対幸せにするからね♥」

『うん』

「……、A顔真っ赤じゃないか♥」



―……だけど、そう言ったヒソカの耳も真っ赤っかになっていた。

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