いぞん【降谷零】【バーボン】 (ページ1)

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The past ページ1

4年前

バーボンside

「おい、なにニヤニヤしてるんだ」

机にスコッチの分のコーヒーを置き、頬を完全に緩ませている幼なじみに問いかける。

「！そんな緩んでたか？」

「思いっきりな。例の女か？」

あからさまに呆れ顔を向けてやったが、スコッチはお構いなしという感じで笑っていた。

「例の女とかやめろよ～」

俺は内心やれやれと思っていたが、大切な幼なじみの幸せを祈らないほど冷たい男ではない。

「だけど相手は100%黒、だろ。」

スコッチの表情があっという間に曇る。

しまった、と思ったが、口から出た言葉は取り消せない。

「黒、なんだよなぁ…。」

深いため息が部屋に残る。

「バーボン。」

「なんだ？」

「俺にもしものことがあったら、こいつのことよろしくな。」

彼女のことを想像していたんだろう。

スコッチの表情は、ただただ愛おしそうだった。

「アホなこと、言うな。」

その一年後、スコッチは死んだ。

スコッチが最後まで愛した彼女の顔と、本名は最後まで分からなかった。

その次の年、ライは黒の組織を抜けた。

俺は今も、公安警察、探偵の弟子、そしてバーボンとして働いている。

もちろん、スコッチが愛した女性も、まだ黒の組織でスナイパーとして活躍していた。

顔を合わせたことは無い

合わせる必要も無い。

彼女が生きていれば、それでいいのだ。

それがスコッチとの約束だから。

ただ、きっと彼女もスコッチを愛していたと思う。

彼女のコードネームはモルト。

スコッチウイスキーの種類の1種だ。