思い出 （2013 year）3 ページ7
一人、公園のベンチに座っていた。
俯きながらさっきまでの彼とのやり取りを思い出す。
「別れよう、なんかお前といてもこれ以上発展なさそうだし」
「…なに、それ。ようするにやらせないから別れるってこと？」
「そんな風には言ってねぇだろ、だからそういうところがめんどくせぇんだよ」
「あっそう、分かった。じゃあ今度はすぐやらせてくれるようなノリの軽い子と付き合いなよ、じゃあね」
「おい、なんだよ。そのいい方っ」
それに結局返事はしないまま、私は一人さっさとこの広場にあるベンチまでやってきていた。
怒りというより、切なさと悔しさで胸が痛くて痛くて仕方ない。
何も考えられない状態でふとベンチに座り、どれくらいの時が経ったのだろう。
近くにひっそり立っている街灯の灯りに照らされて、下手なドラマのヒロインみたいだ。
情けなさ過ぎて涙すら出てこないよ…
「なんだよ、Aじゃねーか。お前一人でこんなとこ座ってなにやってんだ」
慣れ親しんだ声に顔を上げると、いつの間にかてつやと腕を組んだ彼女が目の前にいた。
こんな偶然って酷過ぎる、こんなの惨めの上塗りだよ。
幸せそうな二人を見て、思わず眉間に皺が寄る。
「彼氏はどーした？」
「…さっき解散しました」
「はぁ、こんなところでか？」
「いいでしょ、私達がどこで別れても。私のことはほっといてさっさと行けば」
下を向くと強く両手を握り締める。
するとてつやは彼女に行くぞって言って、私の前を通り過ぎて行った。
その場に一人残されて、なんだかいまの自分の状況に笑えてきてしまった。
くすくすって暫くの間笑ったら、なんだか今度は一気に泣けてくる。
あーもう私って本当、救いようのないバカだ…
ひとしきり泣いてから少し落ち着いたところで、もう帰ろうって思った時だった。
「ねぇ、おねえさん今一人？」
マジうっざいチャラ男が図々しくも隣に座ってきて私の肩を抱いてきた。
私は身体をずらしてその腕から逃れようとする。
「いえ、彼と待ち合わせしてるのですみませんけど」
「えーそれ嘘だよね、さっきから見てたけどなんか泣いてなかった？誰に泣かされたの、俺慰めてあげるからさぁ」
「結構です！」
さらに強く抱き寄せられて身動きが取れない。
ツイてない、今日の私は本当にツイてない…
もうこうなると自分の悪運を呪うしかない。
あぁ、もうこうなったらどうにでもなれ！って自棄になる。
私の人生おわた……
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かえで(プロフ) - 七海さん» ありがとうございます。ついざわくん絡みの話を書きたくなってしまいますw更新頑張ります！ (2018年4月25日 15時) (
レス) id: f1c141d7d3 (このIDを非表示/違反報告)
七海(プロフ) - ざわくんを想うヒロインの気持ちがいつも繊細でとても感情移入して読んでます。これからも更新楽しみにしてます。 (2018年4月24日 17時) (レス) id: ff325b6cef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かえで
| 作成日時：2018年2月21日 12時
