思い出 （2013 year）4 ページ8
「A待ったか？遅くなって悪かったな」
そんな筈がないって思った。
てつやがここに来るワケがない。
でも、目の前にいたのは紛れもなく…
「てつや…」
「悪いんだけどそいつ俺の女なんで離してもらえる？」
静かだけれど迫力のあるその声にチャラ男は慌てて私から離れた。
「早く行けよ、ぶん殴るぞっ」
てつやのその一喝でチャラ男はダッシュでこの場を去って行った。
私は茫然とそれを見送ると、安堵感で身体の力が抜けていく。
「大丈夫かA？なにかされてねぇだろうな？」
私の目の前にしゃがみ込んで、てつやの手が私の両肩にそっと触れた。
それに私は黙って頷く。
「はぁ…あっぶね、俺が来なきゃどうなってたか…」
「てつや、彼女どうしたの？」
「駅まで送って解散」
「嘘でしょ、そんな中途半端な…」
「俺達がどこで別れようがお前には関係ねーだろ、ほっとけっ」
「それどっかで聞いたような…」
「お前がさっき言ったことそっくりそのまま返しただけだ」
「うっわ、性格悪っ」
「お前には負けるわ！」
そんな言い合いのあと顔を見合わせて笑う。
するとてつやは私の隣に腰を下ろすと、上着のポケットに両手を突っ込んだ。
少しの間二人は黙ったまま、すっかり暗くなり誰もいなくなった公園の広場を眺め続ける。
遠くにビルの灯りがポツポツ見えて、空にはいくつか星が輝き始めていた。
「なんで戻ってきたの？」
「あ？なんでって、お前さっき泣きそうな顔してただろ。なにかあったんじゃねぇかと思って」
意外な言葉に思わずてつやの顔を見つめてしまう。
そうしたらてつやも私の方へ顔を向けた。
「なにがあった」
その瞬間、涙が溢れ出していた。
泣くつもりなんてなかったのに、泣きたくなんかなかったのに。
だけどてつやの真剣な表情に私の心が素直になっていく。
「別れたの、彼と」
「まぁそんなことだろうとは思ったけどな」
「お前といてもこれ以上発展なさそうだからって言われた」
「はぁ？なんだそりゃ」
「ようするになかなかやらせないからもういい！ってことだよね」
「…それはお前が悪いな」
「はぁぁ？ちょっとあんた誰の味方してんのよっ」
「悪かった、ほんの冗談だ」
「あんたが言うと冗談にならないのよ…」
私は俯くと両手を握る、それを見つめながらぽつりと話し出した。
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かえで(プロフ) - 七海さん» ありがとうございます。ついざわくん絡みの話を書きたくなってしまいますw更新頑張ります！ (2018年4月25日 15時) (
レス) id: f1c141d7d3 (このIDを非表示/違反報告)
七海(プロフ) - ざわくんを想うヒロインの気持ちがいつも繊細でとても感情移入して読んでます。これからも更新楽しみにしてます。 (2018年4月24日 17時) (レス) id: ff325b6cef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かえで
| 作成日時：2018年2月21日 12時
