いのちのうつわ ページ18
「そう言えば、てつやって出産立ち会うの？」
私が来週正産期を迎えようとしていた、そんなある日の朝だった。
リビングのテーブルに付いて、てつやと虫さんと私の三人でお茶を飲んでいる時のこと。
カップのそれを一口啜ってから虫さんがそんなことを尋ねてくる。
私はちらっとてつやを伺った、すると。
「当たり前やん、立ち会うに決まってんだろ」
なんの迷いもなくきっぱり言い切るてつやを、私は心の中でため息混じりに見つめてしまった。
一般的には旦那さんに出産時は立ち会って欲しいものなのかも知れないのだけれど…
私の場合は色々と不安要素しか思いつかない。
陣痛時にてつやが傍にいたらなーんか集中出来なさそうじゃんね。
一番嫌なのが出産中にカメラ回されて、挙げ句の果てにはそれを動画であげられること(こいつのことだ、マジやりかねない)
そんな心の声が聞こえたのだろうか。
目が合った瞬間、虫さんが苦笑いを浮かべながら私を見ていた。
分かるでしょ虫さん、私の苦労が…
「まぁせいぜいAちゃんの邪魔にはならないようにね」
「なんだと⁈邪魔なんかするワケねーだろ。Aのお産がスムーズにいくようにだな、この俺が全面的にフォローを…」
「それよりそろそろ駅に行く時間なんじゃないの？」
「え、あ！ほんとだ」
今日は事務所で打ち合わせとコラボ動画を撮る為、てつやは一泊で上京することになっている。
「じゃあ行くかぁ、虫さん編集よろしく」
「うん、分かった」
てつやは虫さんにそう告げると、足元に置いてあった鞄を手にして玄関へと向かう。
その後を私も追って、玄関に着くと靴を履いてからてつやがこちらの方を見た。
「じゃあ行ってくる」
「いってらっしゃい」
とは言ったものの、てつやは私をじっと見たまま動こうとしない。
「どうしたの、早く行きなよ。間に合わなくなっちゃうよ？」
「なんか心配なんだよなぁ…俺がいない間に産気づいたりしねぇだろうなぁ？」
「大丈夫だよ、まだ予定日先なんだし。もーなんの心配してるのかと思えば…」
「いやいや何があるか分からないのがお産なんだぞ！この時期に家開けるの嫌だって言ってんのにこういう時に限って色々予定入ってくるんだよなぁ、まったく」
「誰の受け売りよ、それ。仕事なんだからしょうがないでしょ、ほらさっさと行って！」
「お前はほんとに…分かったよ、行ってくる」
仕方ないといった感じでてつやは私のことを優しく抱きしめた。
それに私も腕を回して答える。
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かえで(プロフ) - 七海さん» ありがとうございます。ついざわくん絡みの話を書きたくなってしまいますw更新頑張ります！ (2018年4月25日 15時) (
レス) id: f1c141d7d3 (このIDを非表示/違反報告)
七海(プロフ) - ざわくんを想うヒロインの気持ちがいつも繊細でとても感情移入して読んでます。これからも更新楽しみにしてます。 (2018年4月24日 17時) (レス) id: ff325b6cef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かえで
| 作成日時：2018年2月21日 12時
