未来のために（side TSURIME） ページ42
そして怯えたように視線を外したAの傍にある椅子に俺は座った。
今のAは俺のことも、ましてや結婚していることも忘れている。
小さな頃からの思い出も、それが当たり前のように過ごしてきた楽しかった日々も全部、何もかも。
だからこうして今目の前にいる俺はAにとって他人と一緒だ。
悲しいけど仕方ないことなんだ。
それでも俺はAの傍にいたい。
あの日、写真だけの結婚式だったけれど誓ったんだ。
ずっとAの傍にいる、絶対離さないって。
例えAが忘れてしまったとしても、どうしてもこれだけは伝えたいんだ。
「A」
「…はい」
「いきなりこんなこと言ったら混乱するかもしれないけど、でも聞いてほしいことがあるんだ」
「はい」
「Aと俺は幼馴染なんだ」
そう語り掛けるとAは顔を上げ、俺をもう一度見つめてくれた。
二人の目と目が合った時、俺はAに微笑む。
A、俺は諦められないんだ。
大好きだった人と結婚して、嬉しくて幸せだったあの毎日を手放せない。
いつかAが俺のことを必ず思い出してくれると信じてる。
「幼馴染で、それから夫婦になった」
「え…」
「Aは俺の奥さんなんだよ」
「…私が、あなたの、奥さん？」
「うん」
驚いたような表情を浮かべたまま言葉を失うAを、俺は笑顔で受け止めることしかできない。
今は…
それでもこれが、きっとこれからの一歩になるはずなんだ。
Aはそれから数日後、身体の回復も順調で他に異常が認められないということで退院となった。
ただ記憶が戻らないのがネックで、一度Aの両親と退院後の生活について話し合っている。
もちろん二人からは実家で静養させたいと言われたが、それを俺は頑として聞かなかった。
「俺はAと一緒に暮らしたいです。Aのことは俺が全部面倒見ます」
「でもねみっくん、本当に大変になると思うの。ただでさえ忙しいのにこれ以上みっくんに負担は掛けられないわ」
「Aと俺は夫婦です。支え合うのは当たり前だし、俺がAと離れたくありません。お願いです、Aを俺に預けてください！お願いします！」
何度も頭を下げる俺に根負けしたように、Aの両親からなんとか了承を得ることができた。
Aはというと、入院中毎日顔を出す俺に少しずつ心を開いてくれるようになっていた。
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かえで(プロフ) - まりさん» 私には勿体ないくらいのお言葉を頂き本当に嬉しいです。最後までお付き合い頂きありがとうございました。 (2019年6月5日 17時) (
レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - 好きです。この小説を読んでる時間とても充実してました！素敵な時間をありがとうございました！ (2019年6月5日 17時) (レス) id: 367abc2ae5 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - こーひーまめさん» いつも読んで頂きありがとうございます！最後まで頑張りますのでぜひお付き合いください。 (2019年6月3日 17時) (レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - えだまめさん» 有難いお言葉を本当にありがとうございます！あと少しで最終回を迎えます、最後まで頑張りますのでお付き合いください。 (2019年6月3日 17時) (レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
こーひーまめ - いつも見てます！！続き楽しみに待ってます！更新頑張ってください！！！(o^^o) (2019年6月2日 23時) (レス) id: cfb9147a2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かえで
| 作成日時：2019年4月9日 12時
