エイリアンズ Vol.2【東海オンエア】

82. 抑えきれない ページ32

メンバーへの報告もなんとか無事(？)終了。

「…まぁ、下ネタに始まり下ネタで終わったけどね」
「は、なにか言ったか？」
「別に…」

てつやの部屋でパソコンに向かっている姿を、私はベッドに座って見守っていた。
考えてみれば結局、私はこれまでずっとこの後ろ姿を見ながら生きてきたんだな。
それがごくごく当たり前みたいに。

「今度はうちらの親に言わなきゃだな」
「あーそれがあったかぁ…」
「早めの方がいいよなぁ」

なんだか色々決めたりやらなきゃいけなかったりで大変なことなんだなぁ、結婚って。
ふとそんなことを考えていたら、いつの間にかてつやが私の隣に座って肩を抱いてきた。
そのまま顔を近づけてくる。
私はさっと右手のひらでてつやの唇を遮った。

「編集終わったの？」
「…まだ」
「で、何しようとしてるの？」
「セック…ぶっ！」

私はてつやの左頰を平手する。

「こんなことしてないでさっさと編集やりなよ、いつまで経っても終わらないよ」
「Aのケチ」
「ケチで結構、それくらいの方が家計を預かる主婦になるならちょうどいいでしょ」
「じゃあキスだけでも」
「それだけで済むの？」
「まぁ無理だろうな」
「それならダメ」
「なーAー少しくらいならいいだろぉ、なーって」
「しつこい、私がいると編集はかどらないみたいだからあっち行ってるね」

私は立ち上がると部屋を出て行こうとした。
そうしたらいきなり後ろからてつやに抱きしめられて、身動きが取れなくなる。

「もうなに、最近隙あらばすぐそういうことしようとする…」
「それぐらい押してかないと勝率すげぇ低いからな」
「当たり前、その度付き合いきれないもん」

その時てつやの腕の力が一際強くなって、それから私の首元に顔を埋めてくる。

「今まですげぇ我慢してきたからなんか抑えきかねぇんだよ…」

耳元近くでぼそっと呟くように言われたその一言に思わずドキとした。
私はてつやの腕の中で振り返ると、その頬に手をやりそっと口付ける。

「じゃあ少しだけね」

そうてつやに言ったら嬉しそうに頷いて、私を抱えるとベッドに降ろしてすぐさまキスしてきた。
洋服に手が掛かった時、私はその手を制する。

「てつや、ちょっとてつや！」
「なんだよ、今取り込み中なんだから少し黙ってろよ」
「電気消して」
「点いてる方が興奮するだろ？」
「…それならやらない」
「まて、分かったっ、今すぐ消すからちょっとまて！」

もう、編集どうするんだろ…

83. あの頃の夢を見た→←81. ご報告

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す