エイリアンズ Vol.2【東海オンエア】

73. 眠り姫 side TETSUYA ページ23

自室に帰ってきてからパソコンの前に勢いよく座って一息ついた。
うぉーびっくりしたぁーー…
まさかAがあんなこと言うとは想像もしていなかった。
そりゃ俺だって抱けるもんなら抱きてーよ！
だけど、やっぱりどこか躊躇う気持ちが強かった。
足捻挫してるのも確かにあるけど、あいつが抱えてるトラウマを思えばもうそう簡単に手は出せない。

「なんなんだよあいつ、人の気も知らねぇで」

椅子に深く腰掛けながら小さく呟いてしまった…
あーそういえば、A俺のこと待ってるって言ってたな。
…かわいいこと言うよなぁ。
さっきのAを思い出して思わずデレてしまった。
いけね、さっさと編集終わらせて掃除しないとだな。
なにせAが俺のこと待ってるんだから…


その後は猛スピードで編集を終わらせ、部屋の服とか本とかその他の物は端に追いやってスペースを確保。

「よし、完了！」

Aが見たらこんなの掃除したって言えない！とか言いながら怒るんだろうけど、それはもうしょうがないよな。
これもみんなAの為なんだから。


「A、入るぞ」

部屋をノックしてみたが返事がないので、そっとドアを開けて中の様子を伺ってみる。
するとベッドに横たわってAは眠っていた。
側まで近づいてしゃがみ込むと、Aの髪をそっと撫でる。
やっぱりサラサラで柔らかくて、なんとも言えない気持ちいい触り心地。
スースー言ってる小さい寝息も本当にかわいらしかった。
しばらく寝顔を眺めていると。

「ん…うーん…」

ゆっくりとAの瞼が開いて、何度か瞬きしてから俺に焦点が合ったみたいだ。

「あ、てつや…」
「全部終わらせてきたぞ」
「お疲れさまでした…」
「なんだよ、そのよそよそしい感じ」
「え、んーまだなんか頭働かない…」

俺がベッドに座り直すと、Aが俺の腰に腕を回して胸に頭を預けてきた。

「ふふ、なんだか落ち着くな…」

こ、これは…かわいい方のAだ、かわいいA出てきた！
こいつはヤバイぞ、このモードの時のAはちょっとやそっとの理性じゃ太刀打ちできんのだ。
どうする俺！っていやいや、理性をフル稼働するしか方法はない。
頭の中で急速に色んな思いが駆け巡る。
そんな俺を知ってか知らずか。

「てつや、今日一緒に寝てくれる？」

Aが上目遣いの、さらには潤んだ瞳で俺にそう言ってきた。
…終わった、俺完全に終わった。

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