OPEN SESAME 【東海オンエア】 (ページ5)

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5. そりゃパニックになるでしょページ5

自分の部屋に戻れなくなってしまった事にパニックを起こした私を、なんとかなだめるととしみつはソファーに座らせてくれた。
そのあと私は今この身に起こった不可思議な現象をとにかく分かってもらいたくて、一生懸命になって話した。
一通り私の説明を聞き終えたとしみつは腕を組んでじっと黙っている。

「あ、あのぉ、信じてもらえました？」

暫く沈黙が続いた後でテーブルを挟んで私の目の前に座っているとしみつに尋ねてみた、けど。

「まぁぶっちゃけ信じろって言われても無理あるよなぁ」

って返事。
あれだけ必死に説明したのはなんだったんだ！
その一言で私の話は全部無駄になった気がして、思わずがっくり肩を落としてしまった私にとしみつが言った。

「でもあんたが嘘ついてる様には見えねーんだよなぁ」
「本当ですか、ちょっとは分かってもらえました？
あ、それから私あんたじゃなくてAっていいます。覚えてください」
「…分かったよ。Aちゃんがさ、実際俺の目の前にこうしているワケじゃん」
「そうです、そこ重要！言っときますが決して私、えーとっ、としみつさんのストーカーではございませんから！」
「初め見たときは正直そう思ったけどな」
「絶対違います！」
「それに、Aちゃんが扉開けた時ちらっと見ちゃったんだよな。そこにあるはずのないあんたの部屋ん中」
「ほ、本当ですか？」
「まぁ。まさかそんな事あるワケないと思ったけど」

少しはとしみつに私の思いが伝わったらしい。
良かった、良かった！

「ストーカーではないという事だけでも分かって頂けて良かったです。では失礼致しました」

そう言って私はソファーから立ち上がると歩き出す。

「え～っと、玄関てこっちでしたっけ？」
「えっ、Aちゃんどこ行くんだよ」
「は？どこって、家に帰るんですよ」
「どうやって？」
「どうやって…でしょうね」

しまった、そりゃそうだっ！
現在の時刻は深夜、しかも私は何も持ってない。

お金もない。
携帯もない。
靴もない。

どうやって帰ればいいんだ。

「いったい私はどうしたら…」
「まぁしょうがねーな、とりあえずここにいるしかねーだろ」

エライ事になってしまいましたよ、私…