神話の巫女 (ページ37)

今日:27 hit、昨日:1 hit、合計:125,720 hit

心ページ37

一羽の兎が二人に近づこうとする

尊「うさまろっ！」

尊はうさまろを抱きかかえ、
木箱の裏に隠れた

尊「今はあにぃとAに近づいちゃダメだ！ビリビリにやられちまう…」

ロキはニヤリと笑い

ロキ「ふふっ、
そうしたら兎の丸焼きの完成だね～☆」

みんな「ロキ！/ロキロキ！」

ディオニュソス「…あれ？ふたりは？」

みんな「え？」

言い合ってるうちに
月人とAはいなくなっていた

貴女「これだけあれば十分か…」

月人「そうですね。帰りましょうか。」

夕日に照らされる帰り道

その中に差し出される手

月人「危ないので手を握ってください。」

繋がっている指を伝い、
握られるAの手

貴女「…ああ」

貴女「月人はこの箱庭に来る前に…
行事に参加したことはあるのか？」

月人「ありません。
今回が初めてです。」

貴女「そうか…」

月人「俺がここに来る前は行事に参加することは一切ありませんでした…。
ただ、
月を見続けることが俺の使命でしたから。」

貴女「月人…
お前は常に物事を使命と考え、
その言葉を使うが、
そう考えるのは…楽しいのか？」

そう言った瞬間、
月人は無表情な顔で振り向いた

月人「…楽しいとは何ですか。
なにをしたら楽しいと思えるのでしょうか？
物を食べて美味しいと言いますが、
それは本当に美味しいのですか？
…貴女といると、
胸が高鳴るのは何故ですか…。
月を眺めることだけが俺の使命でした。
それが俺の存在理由です。
俺には、全てがわかりません。
この胸の高鳴り以外に…
興味がわかないのです。」

貴女「……月人、
お前が言う胸の高鳴りは私にもよくは分からないが…お前の分からぬ物は恐らく、心…。
自分の心がお前は分かっていない。
お前の心はまだ純白だ…
一点の色にも染まっていない、無垢な心…。
まだ、分からなくても構わない。
いつか理解できる日がくるから、
それまでーー…」