24 ページ26
.
『ゾムー 朝飯ー』
幹部食堂を出てからものの数分もしないうちにゾムの部屋の前に辿り着き、ガサツに扉をドンドンと叩いて声を掛ける。中からはゾムの呻き声のようなものが聞こえて、今起きたんだろうなぁと分かる。
んー……うー……と唸るばかりでちっとも起きる気配のない彼に痺れを切らし、ドアノブを捻る。
『いい加減にせえ……よ……
ん？お前どこおんn』
｢おはよ、A。｣
『ｯわあ？！？！？！？！』
入室後、彼の姿が見当たらずに困惑したと思いきや耳元から聞こえた声に振り向くと何故か背後にゾムの姿。思わずクソデカい声出して驚いてしまったが……なるほど、多分ドアの後ろにおったなコイツ。
ゾムは私のことを後ろからぎゅっと抱き締めると｢おはよお｣ともう一度言った。間違いなくおはようはおはようなんですけどとりあえず早く飯食いに行って貰えますかね、冷めるんで。
｢……照れないん？｣
『照れへんわ。』
｢昨日はちょっと照れてたのに？｣
『は？照れてへんし、はよ朝飯行け。』
私の忠告など耳にも入っていないように私をヒョイっと持ち上げると｢寒いねん｣と私と布団に戻ろうとするゾム。オイオイ馬鹿馬鹿、何少女漫画みたいなことしようとしてるんだコイツは。それでキャ……♡ドサッとなるほど私の筋力弱くないんだよ頼むから前回で学んでくれって。
私は普通に抵抗し、暫く双方無言の攻防戦が繰り広げられていたが、結局ゾムがしおしおと折れた。朝から料理長相手にサカらないで欲しい、夜に侍女とか呼べって。
ゾムはしゅん……と、私の両肩に手を置いたまま悲しそうな顔をした。飼い主に怒られた大型犬と言うのが妥当だろうか、ともかくまぁ可愛いことは認める。手出すのは許さないけどな。
｢おれ、朝厨房行ってん。｣
『え、そうなん？声掛けてや。』
｢……｣
ゾムは顔を逸らすと｢ぎゅーしてくれへんとこっから動かんから。｣と厄介なことを言い始めた。セクハラ＋パワハラで訴えたいところではあるが、正直別にそこまでして食堂に連れていきたい訳じゃないので、無視して部屋を出ようとする。
すると、後ろからとぼとぼとゾムが付いてくる。
『何やのお前マジで。』
｢〜〜っ、お、おれも分からん、あ、朝やから。｣
『朝はしゃーないな。』
｢おん。｣
そういう事にしておいてあげよう。ふにゃふにゃと終始眠そうなゾムを食堂前の扉まで案内すると私は自室へと戻って行った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 594人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひより(プロフ) - 天才の小説を見つけてしまいました……(涙)キャラ作りとか、地の文の書き方がめっちゃタイプ…大好きです！！作者様のリアルを優先して欲しいのは勿論なのですが、もし戻ってこられることがありましたら是非続きが読みたいです…待っています……！ (11月8日 6時) (
レス) @page31 id: 2340b31398 (このIDを非表示/違反報告)
yまだ(プロフ) - 更新再開ありがとうございます！待ってました！！syp大好きなのでたくさん絡んでくれて嬉しいです！！（ ｉ _ ｉ ） (2023年1月9日 2時) (レス) id: a023009b5b (このIDを非表示/違反報告)
ミミック(プロフ) - 俺はマスターボールだ！！！！ (2022年12月2日 22時) (レス) @page20 id: 552a25aaf1 (このIDを非表示/違反報告)
みずき - ポケモンゲットだぜ☆((あ、面白かったです〜更新頑張ってください〜 (2022年9月22日 23時) (レス) @page20 id: 129e1b5429 (このIDを非表示/違反報告)
虹色のしっぽが付いた雪だるまのジャス民は我々だ！(プロフ) - 思わずモンスターボール構えた読者です笑 (2022年9月20日 17時) (レス) @page20 id: 779b4574fe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：暴 | 作成日時：2022年5月26日 2時
