朱龍の血を引く少女は「高華の獅子」

18話 簪 ページ19

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ヨ「やっぱり髪がはねるのよ！エース髪結って！」



『嫌です』



イ「ダメだこの娘、さっきから髪の事しか頭にない……」



イル陛下が頭を抱えていらっしゃる……



全く、頑固な姫様だ




ス「ヨナ」



ヨ「スウォン！」





あらあら、愛しの王子様のお出ましだ





ス「手を出してください」




スウォン様の手には美しい花の簪




姫様幸せそう……





ス「エースにも」



『は、』



スウォン様の手には金糸を織り込んだ韓紅の髪紐



ス「エースの髪に良く映えると思って」



『……ありがとうございます』



いや、嬉しいのよ


嬉しいんだけどね


姫様の目が怖い！





ヨ「……私の髪、癖っ毛で赤毛でちっとも纏まらないのよ。私には似合わないわ」



ス「私は好きですよ。ヨナの髪。綺麗な紅……暁の空の色です」




ヨ「……」






姫様、気持ちが顔に出てますよ




『恋する乙女て可愛いね』



ヨ「何か言った？」



『ええ、その簪がよくお似合いだと言っただけです』



ヨ『そう？……嬉しい…』





姫様の髪は暁の色



スウォン様は日中の色



ハクは逢魔が時の色




ハ「陛下が探してましたよ。ヨナ姫様」



ヨ「『ハク！？』」



此奴……何処まで神出鬼没なんだ！




渋々パタパタと姫様が駆けていった




ハ「ま、こんな事だろうと思ってました」



ス「え、」



ハ「スウォン様なら陛下を説得できるでしょう。頑張ってください」



ス「誤解だよハク」



『五階も六階もないと思いまーす。あんだけして姫様傷つけたら怒りますよ』




ス「二人とも……まったく。いい加減敬語やめない？昔みたいにスウォンて呼んでよ」



ハ「『身分をわきまえてますから」』



ス「寂しいなぁ。ハク将軍、エース殿」



そんな会話の中でもある気配を読み取った



ハクもなにが感じとったみたい




ハ「……何か感じませんか？お二人とも」




『こんな見え見えの気配を読み取れないわけないでしょ』




ハ「…妙な違和感だ」




ス「そう言えば、ヨナもその様な事を言っていた」




……これは何かが起こる



酷く胸騒ぎがする




『今日、城を出入りする人間を見張りだ』




ハ「了解。スウォン様、姫を頼みますよ」




ス「だから誤解ですって」



さっさとハクが駆けていく


速っ、追いかけなくては





ス「エース」



『はい？』



ふと、スウォン様に肩を引かれた






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