朱龍の血を引く少女は「高華の獅子」

10話 苦しみの朝 ページ11

.





身体が重い





.






.




動けない





.







.





全身が燃えるように痛い







.







.




瞳の奥、脳に至るまでが熱い





.







.






心臓が握りつぶされそう





.






.





髪が、逆立つ





.







.





声が出ない





.






.





だれか、たすけて





.







.




ハ「何泣いてんだ！しっかりしろ！！」



ハクの声に目が覚めた





心配そうな顔をし、肩を揺さぶるハク





口を結び、手を強く握りしめたスウォン





オロオロした姫様






大丈夫ですよ、姫様





口を開いたが、自分で仰天した






.






.





声が出ない




息だけが、喉を通る




ハ「おい、どうした。声が出ないのか？」




私を抱き起こし、心配するハク




スウォンが額に手を当て、直ぐに引っ込めた





ス「ハク、エースが酷い熱です！！！」





ハ「なにぃ！？嘘だろ……」





ヨ「早く、医務官を！！」





寝巻きで駆けて行った姫様




大丈夫か？




止めようにも、声も出ず、手足も動かない




ハ「……喋んなくていい。寝てろ」




ス「きっと疲れが溜まったのでしょう。今日の事はハクに任せてしっかり寝て下さい」





辛うじて動く首を横に振る




今日は姫様の誕生日




警戒体制万全じゃなければいけないのに！




ハ「無理だろ。この熱じゃ、倒れるぞ」




大丈夫なのに、声が出ない




身体はまだ熱いけど、何処も痛くないし、怠くない




筆と紙に視線を送る




ス「？これですか？」




スウォンの差し出す筆を口に咥え、膝の上の紙に文字を書く




恐ろしく汚い文字だけど、幼い私の字を見た二人なら読めるだろう




ハ「…大丈夫て…無理だろ」




大丈夫。その文字を見て、ハクは唸る




ス「辛くないから。……嘘ですね」





『嘘じゃない！！』






突然出た大声に、ハクもスウォンもビックリ仰天





私が一番ビックリ





ハクの手が離れ、支えをなくした身体が布団に落下した





『痛ー……て、あれ？』





頭に手をやり、二度ビックリ




手が動く




立ち上がって三度ビックリ




足も動く







ヨ「早く！エースが死んじゃう！！」



医「ヨナ姫様落ち着いて！」





涙目の姫様が医務官を引いて駆け込んできた




しかし、姫様も医務官も立ち上がっている私を見てポカン




ハクが額に手を当てた




ハ「熱が引いてる……」






.






何だったんだ……？





.

11話 守る→←9話 良い夢

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す