【本当に……すまない。】 ページ23
それからしばらくして、政府直属から命令が降りた。ウィーンは封筒を開け目を見開いた。
A・フィートローズを魔水晶制作実験局破壊任務に命ずる。同伴は無し。
ウィーンは手紙を強く握り締め走り出す。廊下に出ると偶然議長と出くわした。議長はウィーンの姿を見た瞬間、切そうに少しだけ顔を歪めた。
｢議長っ！！いったい…、いったいこれはどういうことですか！？この任務内容…Aを一人で実験局に潜入させ、一人で戦わせろということでは！！？｣
｢…そういうことだ。｣
｢無茶です！唯でさえAの精神は不安定です！！破壊できたとしてもAの命は助かりません！！｣
｢…私も詳しいことを知らされていない。だが、前回の任務並びに、最近の任務で我々は命を落としすぎた。これ以上仲間を失うわけには行かない。｣
｢だったらっ…！！｣
｢ウィーン、｣
議長の目がウィーンを捉える。恐ろしいほどに鋭い目線だった。ウィーンも唇を噛み黙る。
｢Aの力は私達とは桁が違うのだ。同伴したところで何も役にはたたない。｣
｢いないよりはマシですっ…！｣
｢いたところでAの足を引っ張るだけだ。彼女は目の前で人を失うことを何よりも嫌う。それはお前も知っているだろう。目の前で殺されそうな人間がいれば間違いなく自分を犠牲にしてでも救うだろう。そうなれば何も意味などないのだ。｣
全てが、というわけではなかったが議長の意見は正しかった。Aが目の前で人を失うことを何よりも嫌うことは、とうの昔に気がついていた。Aは優しい。それに政府の命令に反復できる訳などないこともウィーンは気がついていた。
だが、それでもウィーンは納得ができるわけがなかった。｢ですが…。｣ と反論に出ようとする。その時議長が口を開く。
｢Aが了承したのだ。｣
｢えっ、Aがっ！？｣
｢そうだ。だから君がここで私と話している暇はないはずだ。｣
ウィーンは一瞬、躊躇ったように口を開こうとした。だが、何もできない無力さには気が付いているのだ。ウィーンは顔を伏せて｢失礼します｣とだけ呟いて、Aの元へと歩き出す。
｢ウィーン…、｣
議長はウィーンの後ろ姿を見つめる。胸が抉られるように痛かった。ウィーンがAを大切に思っていることなど気が付いていた。だが、こればっかしはどうにも出来なかった。
｢ほんとうに……すまない。｣
小さく呟いた謝罪は長い廊下に響き空気に溶けて消えた。
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ヒカリ - 頑張ってね！応援してるからねー！ (2015年5月20日 15時) (
レス) id: afd4375f65 (このIDを非表示/違反報告)
海姫(プロフ) - ヒカリさん» 分かってるよ、(苦笑) (2015年5月16日 11時) (レス) id: b9de7aef37 (このIDを非表示/違反報告)
ヒカリ - でもこの作品が終わったら次の作品の約束忘れないでねー！ (2015年5月15日 16時) (レス) id: afd4375f65 (このIDを非表示/違反報告)
海姫(プロフ) - ヒカリさん» ありがとう！ そう言っていただけると助かります！ (2015年5月11日 0時) (レス) id: b9de7aef37 (このIDを非表示/違反報告)
ヒカリ - 私はずーと気長に待ってるね！ (2015年5月9日 16時) (レス) id: afd4375f65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海姫 | 作成日時：2014年6月20日 23時
