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琥珀色の心臓 ページ19

Aが目を開けた時は、車の荷台の中だった。
ぼんやりとした意識の中で賢治の「マフィアは今、首領を地下避難室に移送させてるそうです。」という明るい声が聞こえた。
等々全面戦争を間近にしているわけだ。
地下避難室はセキュリティが厳しいらしく鏡花でも潜入できないらしい。恐らくそれを見越して地下避難室へと避難させたのだろう。


「正面から強行突破するしかないな。」


乱歩のその言葉に敦が「でも乱歩さん。」と声を掛ける。
どうやら先程、社長が一時的に意識を回復させたのだろう。「マフィアとは戦うな。」という命令が出たらしい。それは自分の命を差し出せ、という意味でその言葉に全員表情を固くさせた。


「死に瀕している社長の言葉です。矢張りウィルス異能者を捕らえる別の手を、」

「それはもうやった。」


乱歩の厳しい言葉が飛ぶ。
そしてやれやれといった様子で乱歩が口を開く。
魔人、ドストエフスキーは奸知の権化。そんな魔人が綿密に準備した罠を時間以内に掻い潜るなど、不可能だと告げた。
これは乱歩だから分かることなのだろう。


「とは云え、これは立派な命令違反だ。だから参加するか否か自分で決めろ。」

「それはマフィアと戦うか退くかの二択を、今決めろと?」


「しかも、長く考えている時間はない。そうですよね? 乱歩さん。」


Aが口を開く。すると国木田達は驚いたように目を見開き「大丈夫なのか!? 」と口を揃える。
だが、それに返答せずにAは「規則の変更をせず、ドストエフスキーの云う通り共喰いを続ければ、恐らくマフィアは社長が異能部屋にいると知れば、私達の家族や知人を人質に取ります。これが、どういうことが解りますよね。」と告げる。Aにいつもの柔らかい表情はなく、真剣そのものだった。


「共喰いに乗っ取り、森さんの命を奪いに行くというのなら、最も勝算があるのは正面突破です。」

「…その通り。」


暫しの沈黙が起こる。そして一番最初に口を開いたのは谷崎だった。
谷崎に続き、与謝野も鏡花も賢治も、マフィアとの正面衝突の作戦に乗ると意思表示した。
そして乱歩は国木田を見る。国木田の表情は顔面蒼白で米神には冷や汗が伝っていた。

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海姫(プロフ) - 神夜さん» コメントありがとうございます!本名と一緒とか…、運命感じます(笑)。ってか可愛い名前ですね。羨ましいです! (2019年1月24日 9時) (レス) id: fe69d25c5e (このIDを非表示/違反報告)
神夜(プロフ) - 海姫っていう名前が私の本名と同じで思わず2度見してしまい気になったので見てみた所とても面白かったです!更新頑張ってください (2019年1月22日 0時) (レス) id: 1c640baa7c (このIDを非表示/違反報告)
海姫(プロフ) - 雪豹さん» コメントありがとうございます〜。正直原作沿かなり自信ないんですけどか頑張ります! (2018年12月28日 20時) (レス) id: fe69d25c5e (このIDを非表示/違反報告)
雪豹(プロフ) - 続編、良いですね!楽しく更新を御待ちしておりますm(_ _)m  (2018年12月24日 13時) (レス) id: 5c79542a8a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海姫 | 作成日時:2018年12月23日 21時

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