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人魚の体温 ページ2

そんな3人の様子にAは目をパチクリとさせて「ご、ごめんなさい。云っていなかったでしたっけ? あはは〜。」笑った。
だが、そんな誤魔化し、今の三人には到底効かず、じりじりと追い詰められる。


「こ、婚約者居たんですか!?」

「え、えぇ。」

「っていうかAって齢は!?」

「24です。」

「歳上!!」


暫く質問攻めをされた後Aは「あまり良いものではないですよ。」と俯いた。


「親に決められた結婚でした。相手は幼馴染で、夫の家も企業家でしたので、最果家をより大きくするものでしたので…。それに婚約者は、前は良くしてくれていたものの、日に日にその本性を見せはじめ、此方に来る前は家庭内暴力なんてざらでしたので。」


Aの声は淡々としていて表情は伺えない。感情すらその言葉には含まれていないように思えた。


「そんな時だったんです。私は毎日に嫌気がさして、高層ビルの上から飛び降りたんです。その時、谷川さんの声が聞こえて…。今ここにいるんです。
今よく考えれば、あの人は私の命の恩人です。」


異能者専用留置所にいるであろう谷川を思い、Aは三人に笑った。
絶望していた。生きていても意味無いと、心を殺していた。愛情に渇望していた。ずっと、死を待っていた。待ちきれなかった。生きていくことは辛く地獄のようだった。終わらない地獄に辟易していて。だから終わらせようと思った。この手で。
そう思ったはずなのに、今こうやって生きていることの不思議。
Aは顔を上げると太宰が柔らかな笑みを浮かべていた。それは包むように優しい笑顔。そんな顔も、出来るんだと、Aは脳の片隅でそう思った。


「死んでいた方が良かったと思うかい?」


太宰は囁くように云った。それは甘い毒のように感じて体に染みる。死んでいた方が、良かったか?
その質問に返す答えは、Aはもうずっと前から知っていた。


「生きていうことは苦しいことです。でも、今は、それを許諾することが出来るくらい、生きていればいいこともあると思えるんですよ。」


Aは太宰達に優しく笑いかけた。その笑顔を見て三人は少しホッとしたような表情を見せたあと、Aに笑い返した。

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海姫(プロフ) - 神夜さん» コメントありがとうございます!本名と一緒とか…、運命感じます(笑)。ってか可愛い名前ですね。羨ましいです! (2019年1月24日 9時) (レス) id: fe69d25c5e (このIDを非表示/違反報告)
神夜(プロフ) - 海姫っていう名前が私の本名と同じで思わず2度見してしまい気になったので見てみた所とても面白かったです!更新頑張ってください (2019年1月22日 0時) (レス) id: 1c640baa7c (このIDを非表示/違反報告)
海姫(プロフ) - 雪豹さん» コメントありがとうございます〜。正直原作沿かなり自信ないんですけどか頑張ります! (2018年12月28日 20時) (レス) id: fe69d25c5e (このIDを非表示/違反報告)
雪豹(プロフ) - 続編、良いですね!楽しく更新を御待ちしておりますm(_ _)m  (2018年12月24日 13時) (レス) id: 5c79542a8a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海姫 | 作成日時:2018年12月23日 21時

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