だから、嫌いなんだよ。～彼がついた２つ嘘～Ⅰ～SJ～ (ページ13)

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独り。ページ13

--Aside--

家の前まで来ると、明かりの見えない窓に、冷たい息が漏れた。

無駄に大きいだけの家。

帰ってくる人なんていないに等しいのに・・・。

鍵を開け、中に入ると案の定電気もついてなくて、薄暗い。

「ただいま」

一人分の声だけが、虚しく響く。
誰もいない家の中。
広いだけで寒い。

足を踏み出すたび、キシキシと床が小さく鳴く。
台所に行き、食卓用のテーブルを見ると、そこには、
一万円札が二枚おいてあった。

それを置いて行った人物。母親と最後に顔を合わせたのはいつだっただろう。
同じ家、同じ学校にいるはずの父でさえ、今日久しぶりに話をした位なのに。

ポケットに入れていた、細長い紙にかかれた成績表をグシャッと片手でつぶした。

「夕食に・・・っ・・・二万円も使わないわよっ！！！！」

泣きたくもないのに、勝手に目から雫がぼろぼろと零れ落ちる。

「っ・・・ふ・・・うぅ・・っ」

口で荒い息をすると、書けているメガネがフッと曇った。

目を瞑るとイ・キュヒョンの顔。

いっぱいの笑顔に囲まれて、゛独り゛なんて言葉はきっと彼には無縁で。

神様に愛された人がこんなに身近にいるのに、なんで私は、こんななの?

なんで私は・・・私なの?

―「一意以外はすべて負け組」

じゃあわたしが一位になったら?

笑ってくれる？ほめてくれる？

・・・・私を見てくれる?

誰にも負けない私だったのなら、独りでいなくてもいいのかな？・・・・。

ひとしきり泣いた後、目に入ったのはテーブルの上の二万円。

また今日も夕食は１人・・・・か。

ううん。違う。夕食だけじゃなくて、全部、何もかも、そう一人。