昼休み ページ8
「はぁ・・・。」
昼やすみ、一人屋上でお昼をすまし、コンビニの袋に入ったごみを持って階段を降りる。
無意識に漏れるため息を止めることはできない。
―「キュヒョンが話しかけなきゃ、誰にも声なんてかけてもらえないくせに」
不意に思い出す声。
そんなこと、言われなくてもわかってる。
自分が良くわかってる。
だから、そんなことで傷つくのはおかしい。
キュヒョンだって、別に私に興味があるから話しかけてきたんじゃない。
―「おはようA＾＾」
あれは、嫌がらせ。
昨日の今日で、笑顔で声をかけてくるなんて・・・、
嫌がらせ以外のなにものでもないでしょ。
教室に向かって廊下を歩いていると、廊下の周りにいるだれよりも耳に刺さる声が届いた。
嫌な予感がして、俯いた顔を上げると、そこには…
「あっ、A」
キュヒョンを中心にした男子５人組がこちらに向かって歩いてくる。
私の名前を呼んだのはもちろんキュヒョン。
彼以外に私を名前で呼ぶ人なんていない。
?？「げっ、なんでお前娘に声かけてんだよ」
？？「てか超睨んでんじゃん」
ばつの悪そうな顔で交わされるひそひそ声。
それは、私が眉を吊り上げて、キュヒョンをまっすぐに睨んでるから。
??「お前娘になんかしたの？」
キュヒョン「んー？なんにも＾＾」
恐る恐る、声をかける男子に、キュヒョンはしらばっくれて、涼しい顔。
その表情に、私は彼をますます睨む。
??「キュヒョン・・・・嫌われてんじゃん？」
キュヒョン「さーてね・・・」
口元を引きつらせる男子たちとは裏腹に、キュヒョンはにっこり笑っている。
??「ちょ・・・・超恐いし。俺ら先に行ってるからな。」
キュヒョン「おー」
私たちを残し、ほかの男子は一目散にその場を離れた。
目の前にキュヒョン一人だけ残され、私は彼の横をすり抜けて通り過ぎようとすると・・・
「待った」
腕がギュッと掴まれ、引き止められた。・・・
「・・・・はなして」
「やだ」
睨む私とは正反対に、目の前の彼は笑顔。
この笑顔が嫌い。
・・・大っ嫌い。
「放して！」
「無理」
「ちょっ・・・や・・・・・っ―！」
そのまま私は、ある教室につれこまれた―・・・。
教室に入るなり、鍵を閉めた彼。
「ひゃっ・・・・！」
乱暴に体を放されたのは、教室の少し大きめの机。
「なに・・・してんの・・・・・？」
聴くだけ無駄ということはわかっている。
誰も立ち入らない薄暗い教室の中。
大きな机の上。
鍵が閉められた扉。
そして、昨日彼が言った言葉。
―口止め料。
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作者名：ユナりん | 作成日時：2012年8月28日 16時
