#42 ページ42
「藤井くんから連絡もらって。ちょうど相続とか墓のことで一回は地元に戻らなきゃって思ってたタイミングやったから…背中押してもらったって感じやな」
先生の言葉に頷く。
会えないかもと伝えてあるのは本当だったようで、わざわざ俺のためだけにこっちに来たわけやないことにほっとした。
「先生は今幸せですか？」
「…っ、それ聞くぅ？」
茶化すように言った後、先生は困ったように頬を掻く。
「幸せ、やと思う。でも神山を置いて勝手に一人で幸せになっちゃだめやとも、思う」
「俺のことは…もう何年も前のことですし」
「時間が経てば良いってものでもないやろ？」
「時間が解決することもあります」
先生は教師を辞めた。
資格を失ったわけではないらしい。
先生に迷惑をかけたくない俺、世間体を気にした学校の利害が一致して、先生の気持ちだけ無視されたまま進んだ事務処理。
やから、そういう小さい何もかもが先生を縛っているんやないかって。
「…ほんまはな、不幸のどん底に落ちたほうが幸せやった。自分が幸せやな、嬉しいなって思うたびに罪悪感が募った」
「……、先生は悪いことをするには良い人すぎたんです」
「んはは、俺のことをいい人なんて言ってくれるの、きっと神山くらいやで」
運ばれてきたアイスコーヒーに口をつける。
「…好きな人が居るんです」
先生は静かに頷いた。
「ずっと、尽くすことだけが恋愛やと思ってきました。相手のために何かをして、反対に何かを我慢することもあって」
「うん」
「けど、今はそれだけやなくて…こんな気持ち初めてなんです」
俺のこと、きっと好きやない人に振り向いてほしいって思うのだってほんまは初めてで。
ちゃんと恋人になりたいって思うのも、俺だけを見ててほしいって思うのも、全部。
「先生、恋ってなんですか？」
本当は今が初恋なんやないかなんて、あほな妄想。
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ナナセ(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます。完結まで漕ぎつけられたのはあさんを始め、たくさんの方が読んでくださったおかげです！最後までお付き合いいただきありがとうございました☺️ (8月22日 9時) (
レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - ゆきのさん» コメントありがとうございます。赤さんは途中から💚さんへの気持ちに自覚が出てきたので、だんだん会いたいだけで誘うようになったし、キスもそういうことです🙊 最後までお付き合いいただきありがとうございました！ ぜひ次回作もお付き合いくださいませ！ (8月22日 9時) (レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - foolさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまって申し訳ありません💦 緑さん可愛いファンクラブ(自称)なので嬉しいですー！ (8月22日 9時) (レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
あ - 初コメ失礼いたします。完結おめでとうございます！緑くんの恋が実って良かったです😭今回も素敵な作品ありがとうございました！ (8月21日 20時) (レス) id: f17f5e7704 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきの(プロフ) - もともと緑くんが好きだったから、見えない所でも恋人っぽく振る舞ってたのかと思いきや、天然だったのはちょっとビックリ。罪な男…！付き合い始めて、青くん達にも紹介したんだろうなとか、色々妄想したくなっちゃいます。次回作も楽しみにしています。 (8月20日 1時) (レス) id: 22105fbc41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2023年7月14日 22時
