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「…来ないでって言ったよね？」
「ごめん」
「ごめんとかじゃなくて、」
「…ごめん」
二回目の謝罪に、ともは大きくため息をついた。
件の彼はまだ帰り支度をしているらしい。
制服を身につけたともは、いっそう俺より遠い人に感じられた。
「墓参りに行く気はない。家に戻る気もない」
「なんで？」
「なんでってそりゃ、」
「辛い過去やから？おかんのこと、ほんまに全部嫌になってもうたん？」
ともにとっては唯一の肉親なのに。
でもそれを言ったら余計に混乱させてしまいそうで、何も言えなくて。
「じゃあ言うけど、俺…、」
「なに？」
「…なんでもない」
聞き返しても、ともは口をつぐんだまま。
「とも。」
「言いたくない」
「…そっか。わかった」
なんで？ってともは言った。
「なんでって何が？」
「なんで、問い詰めたりしないの？」
「さっき言うたから、もうしつこいかなって。お兄ちゃんとして、弟困らせたくないねん」
真っ赤な嘘。
アカデミー賞狙えるんやない？それくらい流暢に言えた。
“とものお兄ちゃんやから”、って多分、言い慣れすぎたんやな。
俺はもう、ただのお兄ちゃんで居続けることはできひんのに…。
「…、」
ともはきゅっと唇を窄めると、何も言わずに背を向けた。
視線の先、アイラインの彼が居る。
「神ちゃん、おまたせ」
伸ばしかけた手が、何も掴まずにだらんと落ちる。
言えなかった。結局、何も。
「…誰？あの人」
ぼそっとつぶやく声がする。
親密な距離感に苛立つ。
「なんでもないよ」
「そんなことないやろ？この人、前もうち来てた…神ちゃんのストーカー？」
ともは否定も肯定もしなかった。
そのかわり、“着替えてくるからちょっと待ってて”と、東京に来てから一度も聞いていなかったともの穏やかな声を聞いた。
もう潮時なんやろか、
会いたくない。
そう言われても、生活圏は嫌ってほど被ってるから。
こそこそと隠れるような日常。
ともの隣にははまださん？がいつも居って、声をかけることはできない。
…いや、いなくても声かけられへんけど。
有給休暇も折り返しを余裕で過ぎて、残りは4日。
これで最後、と言い聞かせてともの後ろ姿に声をかけた。
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ナナセ(プロフ) - にんさん» にんさーん！コメントありがとうございます😭 なんとか完結まで漕ぎ着けました…(電車なのに) 最後まで読んでくださってありがとうございます♡ (2023年2月14日 11時) (
レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
にん(プロフ) - 愛しのナナセ様🌍完結おめでとうございます✨大好きなナナセさんの世界で、こちらのお話は格別でした。線路の延伸が見える終わり、胸を撫で下ろしています。よかった✨二人とも幸せになるんだよ🎊 (2023年2月14日 0時) (レス) @page22 id: 4b2b762418 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2023年1月6日 16時
