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#51 ページ21

始発の新幹線の人出はまばらやった。
そらそうか、こんな時間やもん。
俺の隣には未だふくれっ面をしたとも。

「ごめんて、まさか言ってなかったとは思ってなくて…」
「言ってへんよ。一言も。時間ないって言うからてっきり、大阪戻るまでの時間やって思った」
「あれは本社に移るまでの有給期間がもう僅かって意味やねん。仕事始まったら、とも探すのに時間全部使えへんから」

別に、嘘をついてた訳じゃない。
ただともにとっては、騙されたみたいな気持ちになったらしい。

「…仕事場、関東なん」
「大手町。とものホテルの近くよ」
「〜!余計に先言えや、!」

その言葉にごめんごめんと謝る。
本気で怒ってる訳やないこと、さすがにわかるから。

「ともは?何か言っておくべきことないん?」

俺の中には一つ、明確にあったけど。
あえてそんな聞き方をすると、すぐにピンときたみたい。

「もしかして崇裕さんのこと?」

“ずっと大ちゃんだけ”、その言葉が何よりの答えやろし、疑う気持ちは微塵もない。
でも一応、聞いておきたいところではあって。

「別に何もないよ。噂、否定すればするほど大きくなるから何も言わなくなっただけで。…大ちゃん、気にしてた?」
「んや。まぁ、全くって言ったら嘘にはなるけど…」
「ならよかった」

ともはそう言うと、ふんわりと笑う。

「専門の頃、金欠だった俺に見かねて拾ってくれてん。……ちょっと大ちゃんに重ねてた。崇裕さん末っ子やねんけど、優しくて面倒見良くて、お兄ちゃんってこうやなぁって思った」
「前言撤回。めっちゃ気にする、てか、妬いた」
「なんで?付き合ってるかもしれへんとは思わないのに?」

きょとんとするともにはきっとわからない。
お兄ちゃんの役目も、俺だけのものにしてたいって。

「るさいなぁ。ともは俺にだけ弟ヅラしてればええの!」
「んはは、やきもち笑」
「しゃあないやんか」

にやにやと笑いながら、俺の頬にそっと唇を寄せる。
ちゅ、とやわらかなリップ音。

「嬉しい。大ちゃんの余裕ないところ」
「そんなんばっかりやで」

お返しに口づけを返すと、くすぐったそうに笑う。

「あかんよ、大ちゃん」
「ええねんほとんど貸切やから」

もう、俺たちの関係隠さなくてもええんやから。





(キスくらいセーフやろ?)
(…その先進むと思った)
(ともはほんませっかちやなぁ笑)



【貸切列車/fin】

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ナナセ(プロフ) - にんさん» にんさーん!コメントありがとうございます😭 なんとか完結まで漕ぎ着けました…(電車なのに) 最後まで読んでくださってありがとうございます♡ (2023年2月14日 11時) (レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
にん(プロフ) - 愛しのナナセ様🌍完結おめでとうございます✨大好きなナナセさんの世界で、こちらのお話は格別でした。線路の延伸が見える終わり、胸を撫で下ろしています。よかった✨二人とも幸せになるんだよ🎊 (2023年2月14日 0時) (レス) @page22 id: 4b2b762418 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナナセ | 作成日時:2023年1月6日 16時

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