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「ご迷惑おかけしてすみませんでした」
「謝らなくてええよ。おふくろさんにとっては、しげは代わりの効かない存在やねんから。うちはお前居なくても回る」
「え、それはそれで寂しいんですけど」
「冗談やんか！笑…でもほんま。まだ気持ちの整理もついてないやろし、もう少し休んでからのほうがよかったんちゃう？自分のこととか、家族のこと、ちゃんと大切にして」
困り眉をこれでもかってほど下げる桐山さんは本当に人思いの優しい人。
「動いてる方が気が紛れてかえって良いんで。大丈夫です。任せてください！」
空元気半分、でも家で一人で居ても何して良いかわからないから、正直働ける方がありがたいんよね。
ともが出て行ってからはオカンの介護してたし、辿っても辿っても一人だった記憶がなくて。
ともが居るときは、一日あっという間やったのになぁ。
「…実は今年も、本社の話きてるんよ。今までおふくろさんのことがあるからって他の子に譲ってたと思うんやけど、今年はどうするかちょっと考えてみて」
正社員として働くようになってからかなり月日が経った。
五年目くらいからかな、定期的に本社への異動を持ちかけられていた。
いずれはデスクワークに、って高校生の頃は喜んでいたけれど、俺が上京したらオカン看る人いなくなるから…。
考える余地もなく断っていたその申し出。
今なら俺の自由に選択ができる。
・
ぼんやりと東京にあると認識していた本社ビル。
それが大手町にあるって知った時には背中に電撃が走った気持ちだった。
ともの行動範囲の可能性が高い。
もしかしたら、あっちで働いている間に見つけられるかもしれない。
そう思うと気持ちは止められなくて、次の日には桐山さんに是非との返事をした。
ともに拒まれるかもしれない。
もう会いたくないって、もしかしたら思ってるかも。
夢の中のともの視線を思い出すと怖かったけど、一眼でもともを見たい気持ちは消えないし。
「もう、俺ら悪いことしてるわけやないねんから」
小さく呟く。
兄弟であること、ともが引け目に感じていたならそれはもう気にする必要ないって伝えたい。
周りから祝福される、一点の曇りもない幸福。
天国みたいなその日々を考えると口元がにやけるのがわかった。
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ナナセ(プロフ) - にんさん» にんさーん！コメントありがとうございます😭 なんとか完結まで漕ぎ着けました…(電車なのに) 最後まで読んでくださってありがとうございます♡ (2023年2月14日 11時) (
レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
にん(プロフ) - 愛しのナナセ様🌍完結おめでとうございます✨大好きなナナセさんの世界で、こちらのお話は格別でした。線路の延伸が見える終わり、胸を撫で下ろしています。よかった✨二人とも幸せになるんだよ🎊 (2023年2月14日 0時) (レス) @page22 id: 4b2b762418 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2023年1月6日 16時
