#47 ページ17
『智洋が生まれた時、私は一人だった。妊娠がわかったタイミングで、相手と連絡がつかなくなった。周りの反対を押し切って、あなたのことを産んだのに。』
それは紛れもなく、ともと俺が連れ子同士であることを示す一文。
本当は、俺からちゃんと伝えたかった。伝えるべきやった。
手紙の文字が少しずつ乱れ始める。二枚目になって文章量もぐっと増えた。
『どうしてあんなに大切で、守りたいと思っていた我が子に憎しみを抱かなくちゃいけないんだろう。
浩一さんに目に見えて好かれている智洋のこと、いつしか息子として見れなくなりました。
本当は、あなたを産んだ時に母親になる決心をするべきだった。
もっともっと大切にしてあげたかった。
一度は抱きしめてあげたことがあるかな。それすらもわからない。
謝ったって許されるとは思ってない。だけど、謝ることしかできない。本当にごめんなさい。』
何度も綴られた、謝罪の言葉。
多分、オカンはオトンとの関係だけやなくて、ともとのことでもすごく悩んでたんやな。
ともが家を出ていってしまって、きっとずっと心残りだったんやと思う。
…似たもの親子って言うか。
オトンもオカンも、俺も、ともに歪んだ執着を向けている。
「……知ってたよ」
「っえ、？」
「大ちゃんと血ぃ繋がってないこと。やから、そんな顔しないで」
俺今どんな顔してる？
わからんけど、眉を下げて俺に微笑みかけるともの姿に、自分が随分情けない表情をしてることがわかる。
「それ伝えるためにここまで来たんやろ？」
「なんで、それもオトンに聞いた…？」
「うん。もうずっと前だけど」
ともは何でもないことのように言う。
「まだ家居った頃？」
「そうやで。…黙っててごめん。やけど大ちゃんのこと、ほんまのお兄ちゃんみたいに思ってたのは本当やから。信じて」
それが、一番の答えなんやろな。
血ぃ繋がってないから、俺らがどんな関係になっても誰も責めない。
そう伝えたって、“そうやな”ってそのままかわすつもりだと、そう言われたような気がして。
「お兄ちゃんとしか思ってないのに、キス、受け入れてたん？」
やから、こんな言い方をしてしまう。
「ともは“お兄ちゃん”との距離感があれで正しいと思ってたん？」
こんな言葉、全部自分に返ってくるようなもんやのに。
あの時とものことを弟だと思いながら、気持ちを止められなかった自分に。
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ナナセ(プロフ) - にんさん» にんさーん！コメントありがとうございます😭 なんとか完結まで漕ぎ着けました…(電車なのに) 最後まで読んでくださってありがとうございます♡ (2023年2月14日 11時) (
レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
にん(プロフ) - 愛しのナナセ様🌍完結おめでとうございます✨大好きなナナセさんの世界で、こちらのお話は格別でした。線路の延伸が見える終わり、胸を撫で下ろしています。よかった✨二人とも幸せになるんだよ🎊 (2023年2月14日 0時) (レス) @page22 id: 4b2b762418 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2023年1月6日 16時
