#46 ページ16
「とも」
その言葉に振り返る。
改札を通って俺の隣に追いついた大毅は、そのままゆっくりと歩を進めた。
「ごめんな。ちょっと遅くなった」
「ううん。俺も一本前の電車」
淳太さんの言ったお楽しみ、よりも先にこの日が来てしまった。
シュウの最後のお迎え。
明日は遊園地に行って、次の日に大毅のお姉さんに引き渡す。
「やばいな、あっという間や」
「うん」
「…ってこういうセリフ、絶対に明日も言いそうやからやめておく」
大毅はそう言って笑うと、いつも通りの他愛ない話を始めた。
「大毅の仕事の話聞くの、久々かもしれへん」
「あー、シュウの前やとあんまりせぇへんからな」
「確かに」
日常に溶け込んでいたシュウという新しい色。
大毅と二人で暮らしていたことがすごく遠くに感じる。
もう、シュウを中心にして回る生活が終わるんや。
寝かしつけるはずが一緒に寝ちゃって、健康的すぎる生活をしてしまうのも。
早番で保育園にダッシュで迎えに行くことも。
お風呂ではしゃぐことも、三人で寝ることも。
もう、ない。
「楽しかった？」
俺の質問に大毅がくいっと眉を上げる。
「そっちのが、明日聞くべき質問やろ」
「そうかも」
「…楽しかったよ。まぁ、シュウええ子やからな。実際の子育てじゃこうはいかんのやろけど」
「ふふ、聞き分け良かったもんな」
「それに、ともがいたから」
「えぇ、シュウ、俺の言うことはよう聞いた？笑」
「ちゃうくて」
ともと一緒だったから楽しかったよ。って。
不意打ちすぎる言葉に、曖昧に頷いた。
・
「シュウくーん、豪華なお迎えが来たで」
「はーい！」
桐山さんの言葉に元気よく返事をしたシュウは、荷物をまとめ始める。
「お世話になりました。月曜日からはまた姉が迎えに行きますので」
「一か月、お疲れ様です。慣れない育児、大変やったでしょう」
「大変なこともあったけど、楽しかったです。叔父バカって言われたらそれまでですけど、シュウ可愛いんで」
大毅の言葉に頷く。
愛らしい子や。時々見えるわがままも可愛くてしゃあない。
「シュウくんも毎日家のこと聞かせてくれるんですけど、楽しそうでした」
「え、家の話してるんですか」
「はい。重岡さんはお風呂でいつも大熱唱するとか、神山さんはシュウくんより先に寝てまうこともあるとか」
「あいつ〜！恥ずかしいことばっかり暴露しやがって！」
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ナナセ(プロフ) - ナナイロさん» コメントありがとうございます。もったいないほどの褒め言葉！嬉しいです涙 次回作もぜひよろしくお願いいたします◎ (2021年10月19日 11時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - ななはちさん» コメントありがとうございます。ちょっと捻った始まりにしたかったのですが、無事に楽しんでいただけてよかったです◎ ぜひ次回作もお付き合いくださいませ！ (2021年10月19日 11時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
ナナイロ(プロフ) - 完結おめでとうございます！最初から最後まで全部が好きでした！最後は幸せなかみしげが見れてキュンキュンしました♪次回作も楽しみに待ってますね！ (2021年10月18日 19時) (レス) @page32 id: e8246d4427 (このIDを非表示/違反報告)
ななはち(プロフ) - おまけの完結、おめでとうございます！！別れる所から始まるお話、どうなるんやろって思いながら読みすめて、最後は｢そうきたか！｣と言ってしまう位の展開で最高でした！次のお話はオメガで…楽しみにしてます！！！ (2021年10月18日 14時) (レス) @page32 id: ef79629cea (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - りえさん» コメントありがとうございます。こちらこそ毎日お付き合いいただきありがとうございました！番外編もよろしくお願いします◎ (2021年10月17日 11時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2021年9月25日 11時
