#39 ページ9
もう恋愛せぇへんって決めてるから。
流星の優しさは嬉しいけど、もう誰かとどうこうなるつもりないねん。
たまにケーキの試作に同席して、飲み行ったりして、流星とはそういうええ友達でいたい。
俺のわがままに嫌な顔せず流星は頷いてくれた。
でも、流星のこと何も知らんかったな。
親に言ってるって、そもそも彼のセクシュアリティを俺は知らなかったわけやし。
気まずくなりたくないって気持ちが働いたのかいつもより饒舌な流星は、フランス留学中に付き合っていた彼氏の話や、親に打ち明けたときのことを話してくれた。
「ただいま」
二人とも寝てるやろから小さな声で。
一人暮らししてもただいまって言ってしまうタイプやって何となく予想できてる。
電気つけっぱなしや。もう…。
一人でシュウの面倒見るの大変やったのかな。
それとも俺が暗い部屋に帰ってくるの、可哀想やから？
リビングに続くドアを開けると、猫背の後ろ姿が見えた。
「あれ…」
「おかえり」
「どしたん、もう夜遅いのに…」
文庫本から顔を上げた大毅はへらっと笑う。
「眠れなくて」
「そっか…あ、お茶とか淹れよか？」
「ううん、大丈夫。ありがと」
とんとん、と大毅の隣を示されて大人しく腰かける。
「あほやなって思ってくれてええんやけど。…このままともが帰ってこなかったらどうしようって思ってた」
「どしたん？悲しい映画でも見た？」
「ちゃうよ。笑 なんかさ、俺にはもうとものこと引き留める権利がないんやなって気づいたら急に。」
ちょっとタンマ。
大毅の言葉が二人きりの部屋に響く。
すぅ、と小さく息を吸う音はすぐ近くで。
「ともが帰って来なかったら、俺、シュウの面倒一緒に見るって約束したやん！とか、そんな卑怯な言い訳みたいなことしか言えない。もう、好きやから、隣にいたいからって言ったって、その言葉でともが帰ってくる魔法は解けてる」
「…、」
「寂しいなぁってそんなこと考えてた」
強張った大毅の握りこぶしをそっと包む。
「シュウは？ちゃんといい子にしてた？」
「うん。とも居らんくて寂しいって言ってたけど、案外あっさり寝た。笑」
「そんなもんよなぁ」
まだもう少しこうしていたい。
だいぶ温かくなった大毅の手、きっと眠くなってきてる。
でもまだ、少しだけ。
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ナナセ(プロフ) - ナナイロさん» コメントありがとうございます。もったいないほどの褒め言葉！嬉しいです涙 次回作もぜひよろしくお願いいたします◎ (2021年10月19日 11時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - ななはちさん» コメントありがとうございます。ちょっと捻った始まりにしたかったのですが、無事に楽しんでいただけてよかったです◎ ぜひ次回作もお付き合いくださいませ！ (2021年10月19日 11時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
ナナイロ(プロフ) - 完結おめでとうございます！最初から最後まで全部が好きでした！最後は幸せなかみしげが見れてキュンキュンしました♪次回作も楽しみに待ってますね！ (2021年10月18日 19時) (レス) @page32 id: e8246d4427 (このIDを非表示/違反報告)
ななはち(プロフ) - おまけの完結、おめでとうございます！！別れる所から始まるお話、どうなるんやろって思いながら読みすめて、最後は｢そうきたか！｣と言ってしまう位の展開で最高でした！次のお話はオメガで…楽しみにしてます！！！ (2021年10月18日 14時) (レス) @page32 id: ef79629cea (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - りえさん» コメントありがとうございます。こちらこそ毎日お付き合いいただきありがとうございました！番外編もよろしくお願いします◎ (2021年10月17日 11時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2021年9月25日 11時
