#54 ページ14
キーンコーンカーンコーン。
聞きなれたチャイムの音がこんなにも嬉しいのは、テスト最終日の最後の科目の終わりのチャイムの時だけだろう。
周囲からわかりやすくため息が聞こえてきて笑ってしまう。
「終わったー！」
「答案回収までは静かにしなさい！」
…まぁここまでがワンセットみたいなところあるよな。
試験監督が桐山先生だったから、しげがめちゃめちゃ大人しいのも笑ってまう。
普段なら、しげがああやって騒ぐくせに。笑
「ホームルームで修学旅行の部屋班決めがあるから、担任の先生が戻ってくるまで待機な」
そっか、テストが終わればもう修学旅行は目と鼻の先。
高校生活一番の花形イベントに対する盛り上がりで、教室の温度ごと高くなったみたい。
そんな俺らに苦笑いして、桐山先生は答案の入った茶封筒とともに教室を去った。
・
「一泊目は那覇空港近くのビジネスホテル。四人ないしは五人で宿泊。二泊目は二人で宿泊。場所は…上の代から聞いてる人も多いよな」
先生が口にしたホテルの名に、女子がわぁーっと歓声をあげる。
「どこそれ」
流星に肩を叩かれて、質問に応じる。
「高いホテルなんやて。ご飯豪華やし、天蓋付きのベッドやし、小さいけどプライベートビーチまであるって」
「…めちゃめちゃ豪華やな」
「ほんまに。こんな機会じゃなきゃ泊まれへん」
部屋割りを決めるよう指示を受けて、のんちゃんは俺らを見回す。
「一泊目はこのメンツでええやろ？」
「もちろん。夜中こっそり食べるようにカップ麺買いこもう」
「それお湯どうすんの？」
「シャワー？」
「絶対まずいから嫌や！」
ぬるま湯で作るカップ麺とか地獄でしかないで。
「二泊目は神ちゃん、俺と泊まるやろ？」
「へ？」
しげは当たり前のように俺の肩に手を置いた。
「死ぬほど寝起きの悪い神ちゃんは、俺、重岡にお任せください」
「朝弱いことは言わんかったらばれへんのに…！」
「いや、二日目の朝」
…あ。
「ほな、流星と俺にする？いうて俺も朝強ないけど」
「俺もやで」
「詰んだやん」
「しゃあない、お前らにモーニングコールしたるわ」
ケラケラ笑うしげにつられて、のんちゃんも流星も笑ってて。
内心、心はぐちゃぐちゃ。
そりゃもちろん、誰と同室でも絶対楽しいのはわかっているけど。
しげから、こうやって手を差し伸べてくれたのが嬉しかった。
友情としてでも、特別扱いしてくれることに、わかりやすく嬉しいと思ってしまった。
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ナナセ(プロフ) - かこさん» コメントありがとうございます◎ ぜひ次回作もお付き合いください！！ (2021年2月19日 13時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - 完結おめでとうございます（ ; ; ）とっても面白かったです！次回作も楽しみにしてます(^^) (2021年2月19日 12時) (レス) id: 6e72dd3f11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2021年2月2日 10時
