#53 ページ13
テスト期間はまだまだ続く。
今日も今日とて俺を図書館に誘拐しようとしたしげは、その前にのんちゃんに捕まえられた。
「神ちゃんのノート、独り占めすんなや」
「…はい」
四人で勉強しよう、というのんちゃんの申し出に頷いて、話しても大丈夫なスペースに移動。(俺ら勉強する気あるん？笑)
「流星も掃除終わったら来るって」
「「はーい」」
とりあえずのんちゃんにノートを貸して、俺はしげの指導の元、化学と格闘。
あと数か月でお別れだというのになぜ、こんなにも暗記が多い単元…有機化学許すまじ。
「そういや、小瀧って理系？文系？」
まずこの問題を解いてみろ、と若干放任されて、大人しく参考書に向き合う。
数日前に気にしていたのんちゃんの進路。直接聞くのね。
「文系。世界史選択」
「ほー」
「聞いておいて反応うっすいな」
「行きたい大学とか、あるん？」
核心に迫る質問に、俺も思わず手を止める。
…いや、その前から止まってたけど。
「まぁ、ぼんやりとは。姉ちゃんが上京してるから、俺はこっち残るかなぁ」
「え？」
「何、そんなに驚くこと？」
「小瀧、東京行かへんの？」
「うん」
しげはホッとため息をつく。
「なぁんだ、心配して損した」
「東京行くと思ってたん？」
「いや、パンフレット受け取ってるの見かけたから…」
「ん？あぁ、姉ちゃんがパンフに載ってるっていうから」
人騒がせなやつやなぁ！と、ちょっと自分勝手な突っ込み。
なんだかんだ、友達大好きな奴やもんな、しげ。
「あ、流星戻ってきた」
のんちゃんがぶんぶんと大きく手を振ると、流星も軽く手を上げて応じる。
「お疲れー」
口々にねぎらいの言葉をかけると、流星は俺の前の席に腰を下ろした。
「どこやってるん？」
「えーとね、有機の一章」
「ノート真っ白ですけど？」
「難しいねんもん」
参考書を覗き込んでくるもんやから、急に流星のイケメンフェイスがどアップに。
「今俺が神ちゃんに教えてるから、流星別にええよ」
しげが声をかけても、流星は首を振る。
「神ちゃん、全く進んでへんよ。先生業務、代わったる」
俺のシャーペンを奪い取ると、彼はそのまま参考書に文字を書き込む。
「ここ、この物質は＿＿」
授業中、寝てばっかりいる流星から勉強を教わるなんて変な気分。
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ナナセ(プロフ) - かこさん» コメントありがとうございます◎ ぜひ次回作もお付き合いください！！ (2021年2月19日 13時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - 完結おめでとうございます（ ; ; ）とっても面白かったです！次回作も楽しみにしてます(^^) (2021年2月19日 12時) (レス) id: 6e72dd3f11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2021年2月2日 10時
