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#63 ページ23

聞き慣れないアラームの音。
起床時刻にそれを設定してくれたのはなんやかんや真面目なのんちゃんだったっけ。
遠くからの睡眠妨害に、思わず眉を顰める。

「っあー、寝違えた」

隣からモゾモゾと音が聞こえたと思えば、ぼやくしげのちょっと掠れた声が聞こえた。
まぁでも、今起きたって洗面所使われへんし。
朝の支度をする物音をBGMに二度寝。





「…ちゃん、神ちゃん、」

騒がしくても、案外寝れるもんなんやな。
肩を揺すられる感覚としげの声に意識が浮上して、それでようやっと騒がしさを認識する。

「起きてくださーい」

聞こえてる、というように何度か頷く。
昨日の移動とは違って、ガッツリ寝た後だから目覚めも悪い。

「もう!起きなきゃチューしちゃうで?笑」

半笑いのその言葉に、急に頭が冴えて。

「ぅおっ、急に起き上がったらびっくりするやん笑」

目の前に驚いた表情のしげの顔。
その距離に、あの日のキスを思い出してしまって慌てて頭からそれを追いやる。

「しげが変なこと言うからやろ…!」

押しのけるようにベッドを降りて、洗面所に向かう。

「のんちゃんと流星は?まだ寝てるん?」
「おん。順番に起こそうと思って。神ちゃん、自分の支度終わったら俺の寝癖直してくれへん?」
「もー、自分できひんの?」
「えへへ」

えへへちゃうで、ほんま。

「今日は、神ちゃんにデートのお誘いをするから。身支度ちゃんとしたいねん」
「デート?」
「イルミネーション、二人で見ませんか」

…結局、寝癖直す前に誘ってもうてるし。
ぴょこんと跳ねた彼の前髪を押さえて返事をする。

「うん。見る」
「…なぁ、神ちゃんの耳赤いんやけど」
「気のせいです」
「ふふ、ほんまは誘って欲しかったくせにー」

その言葉に思わず動きが止まってしまうと、クスクスと笑い声。

「図星か。神ちゃん、ロマンチックなの好きやもんなぁ」

弾んだ声を無視して蛇口を捻る。
顔にかけた水の冷たさに、頬の火照りを自覚した。

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ナナセ(プロフ) - かこさん» コメントありがとうございます◎ ぜひ次回作もお付き合いください!! (2021年2月19日 13時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - 完結おめでとうございます( ; ; )とっても面白かったです!次回作も楽しみにしてます(^^) (2021年2月19日 12時) (レス) id: 6e72dd3f11 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナナセ | 作成日時:2021年2月2日 10時

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