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7,三つ編みの少女。 ページ9

肉まんを食べ終わりベンチを離れ、人気のない場所に行く。いちいち姿を変えるたび、人間に見つからないように人気のない場所にいくのは、少々面倒だ。

このようなことならばハルヤと同じくどこかの家を不法占領すればよかったのではないか、とも思ったのだが、もし処理が失敗したときのリスクを考えるとそのようなことはできない。

学校にいくための身支度をする。身支度といっても、少し妖気を使うだけでそこまで大した事ではない。

制服姿になると、深く帽子をかぶる。そして大通りへの一歩を踏み出した。
しかし、そのときだ。

背後からしたのはりんりん、と鳴る鈴の音。
心なしかどこかで聞いたことのあるような気もしたのだが、それが何を示しているのかは全くといっていいほどわからない。

振り向けば、三つ編みの少女。
茶色い目に、茶色い髪。よく馴染んだ制服は、私と同じ物である。

よくよく見ればあの時、ハルヤたちと敵対していた人間たちの中の一人だ。

しばらくすればやはり気づかれてしまう。
気がつき知らぬ振りをやはり変だったか、声をかけられてしまう。

「転校生の空呑さんですか…?」

まさかの相手はこちらの名を知っていた。

「そうですけど…。貴方は…?」

素直に聞いてみる。
人間とのコミュニケーションはあまりやったことがなくやはり苦手なのは昨日と同じだったが、多少なり昨日よりはマシな気がする。

「私は天野ナツメです。」

そういえば彼女はニコッと微笑む。
その笑顔はとても可愛らしくて。思わずこちらの表情筋も少し和らいだ。とはいうものの、帽子やマスクのせい…いやお蔭でそのことは彼女には伝わっていなそうだった。

「あっ…。ではこちらも。空呑Aです」

彼女のように微笑むことをせず、私は軽く会釈をした。

それにしても、何故彼女が私の名前を知っていたのか。
すぐには理解できなかったが、彼女の話を聞いていくうちに少しずつわかった。

「空呑さん、何で昨日早退したんですか…?」

「いや…。体が弱いもので…」

そう、私が転校初日で早退したのが全ての原因だったようだった。
その話を聞き、今日は早退しないと深く心に刻む。

そして話していくうちにだんだんと時間が迫ってきていたので今日彼女と一緒に登校する、という話になり、横並びに大通りを二人歩いていった。

8,「“妖怪”って信じる?」→←6,温かい肉まん。



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ピカヒカリ(プロフ) - 妖姫海さん» お久しぶりです…!コメント、有難うございます!頑張ります!(妖姫海さんも頑張って下さい!応援してます!) (2019年5月23日 22時) (レス) id: c88429faf5 (このIDを非表示/違反報告)
妖姫海(プロフ) - やっぱりすごいですね・・・!!頑張って下さい!! (2019年5月23日 21時) (レス) id: 46d529bdf6 (このIDを非表示/違反報告)
ピカヒカリ(プロフ) - コロニャンさん» ありがとうございますッ…!嬉しいです…!!今から更新してきます!! (2019年5月12日 18時) (レス) id: f74e3a9ead (このIDを非表示/違反報告)
コロニャン - 何回読んでも、おもしろい (2019年5月11日 20時) (レス) id: a0b631ee37 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピカヒカリ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年5月6日 19時

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