自称“しがない作曲家” (ページ4)

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＊影がさすページ4

気がつくと日が暮れそうで、辺り一面綺麗な夕焼け色だった

早く帰らなければと思い、片付けをしていた

するとそこに、1人の女性が歩いてきた

「初めまして。私は寺笊狗乱」

そう、この女性こそが寺笊さんだった

夕焼けに照らされた寺笊さんは、とてもキラキラしていた

「初めまして」

ぎこちなくそう返す

綺麗さに圧倒されていたのもある

「あの、寺笊、さん？」

はいと答える彼女に対して僕は、外国人なのかと思っていた

ジゼルさんって

漢字とは思わなかった

「どうか、しましたか」

慎重になってしまったが、初対面なのだから許してほしい

「その曲」

そう言って指をさしていたのでつられて僕もそちらを向く

視線の先には先程吹いていた楽譜があった

「ムーン・クラシラル」

彼女がそう言った瞬間

本当に直感なんだけど、この人に似ているって思った

見た目もあるのだろうけれど、声や目で、なんとなくそう思った

綺麗で懐かしむように細められた目

もっとみたいと思ってしまった

「吹きましょうか？」

なんとなくそう口にしてしまった

じゃあ…お願い微笑んだ寺笊さんにすこし赤面する

顔が熱いや

「では、失礼します」

ベンチに2人で座った

そして、吹く

サックス特有の音が、綺麗な楽譜の音を奏でていく