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＊おはなし ページ2
鄒羅side
事の始まりは、3年前に遡る
高校を卒業し、一人暮らしをしていた僕はある音楽楽団に入っていた
主にサックスを担当していた
絶対音感の持ち主、有名な音楽大学の推薦者、卒業生として、指揮者には特に重宝されていた
嬉しかった
初めてあった僕の事を認めてくれた
必要としてくれた
だからこそ僕は、今よりもっと頑張って、もっと役に立ちたいって思った
でも、関わっていくうちに気づいたんだ
本当に欲しいのは絶対音感、そしてこの頭脳
関係なしに見てほしい
そんな欲が芽生え始めた
悲しくなったけれど、どうしても大好きな音楽はやめたくなかった
だから、そんな事気にしないように努めた
それでも傷つくものは傷つくし、いままで嬉しかった褒め言葉も聞きたくなくなった
次第に、僕を褒める言葉全てお世辞なんだって思えてきた
本当の僕を見だしてくれ
多くの欲があったはずなのに、最後にはこれだけだった
大きくて、当たり前のような、でも難しい
そんな欲だ
一緒に演奏してきた、仲間と思っていた人たちからも
僕が指揮者に気に入られていると思っていること
僕と自分を比べられるということで、毛嫌いされた
もうここに居場所はない
演奏しても、みんな笑顔にならない
こんなところで演奏なんて…
誰も幸せになれない演奏なんてやめてやる
そう思い、やめた
その後の楽団…
確かギクシャクしてコンクールもろくに出られないようになったそうだ
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作者名：巳優 | 作成日時：2019年1月16日 0時
