転生198 ページ8
私の個性で救助...
どうやって使おうかなぁ？なんて考えていると、
『演習終了時に基準値を越えていれば合格とします
10分後に始めますのでトイレなど済ましといて下さいね＿...』
説明が終わってしまった。
最後の合格条件だけしか聞いていない。これは...まずいのでは？
まぁ、誰かと一緒に行動して適当にやっとけばいいいでしょ。
そう結論付けて、私はケミィさんに変身しているトガさんに近づいた。
ちょうどＡ組の皆から離れたところだったから、話しかけやすい。
「あの、ケミィさん 少し、いいですか？」
追いかけてきた体を装って話しかけると、「なぁに？」と言いながら端の方に歩いていく。
聞かれたくない話だってわかってる。ということは、トガさんもバレてることに気付いてる？
「早速なんですけど... トガさん、ですよね？」
立ち止まり、ケミィさんが振り向いたとき、そう問いかけた。
反応を確認するために顔を見つめていると、ニヤァと笑みを浮かべた。
「そうだよAちゃん よくわかったね！
でもなんでわかったの？ もしかしてこの人のこと知ってた？」
相変わらずテンションの感じが掴めないトガさんはやっぱり面白い。
私は何故だか微笑んでしまう。首を傾げるトガさん、可愛いなぁ。
「私が知ってたのはケミィさんの個性だけですよ
わかったのは、戦い方がトガさんそっくりだったからです」
「それだけでわかるの！ Aちゃんすごいねぇ!!」
トガさんがケミィさんの顔で、私の方をキラキラした目で見てくる。
そんな顔したら、バレちゃうんじゃないのかな？
なんて思いながらトガさんの顔を眺めていると、ジリリリリと警報音がなった。
『
規模は○○市全域 建物倒壊により傷病者多数！』
始まったみたいだ。チラッとトガさんの方を見ると、もうどこかに行っていた。
行動早いなぁ。私は誰についていこうかなぁ？
『道路の損壊が激しく緊急先着隊の到着に著しい遅れ！
到着する迄の救助活動はその場にいるヒーロー達が指揮をとり行う』
『一人でも多くの命を救い出すこと!!!』
そのアナウンスと共に、スタートの合図が切られた。
皆が一斉に駆け出していく。
私は辺りを見回し、たまたま見つけたかっちゃんに付いていくことにする。
走りながら状況を確認すると、怪我をしている人がたくさんいる。
この人たちを正しく助けるのが救助訓練の達成条件なんだろうな。
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作者名：鈴蘭 | 作成日時：2018年4月1日 19時
