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好敵手9 ページ10

あれから1週間。
クラスマッチまで残り1ヶ月を切ったこの期にて、バスケ部ではとある噂でもちきりだった。


「ヤバイんだって!第3体育館!!」


第3体育館。
自主練終了後。普段あまり使われていないそこの前を通ると、誰もいないはずの体育館に確かに消したはずの明かりがついていて、ボールの音が聞こえるというものだ。
たまに声を聞こえてくるとか。

ありきたりだな、と思ったし、馬鹿馬鹿しいと感じていた。

...しかし、それはさっきまでのこと。



始まりは、例の数学教師より課された、明日までにやって来るように言われていた宿題。それを部室に置いて来てしまった事にあろう事か電車に乗ってしばらくしてから気がついたのである。結果、俺が学校に再び着いた頃には午後9時を過ぎていた。


第3体育館に、電気が付いていた。


一瞬で噂のことを思い出す。

この時間まで練習を許されているのは、海常高校では基本的に2つの部活だけだ。
そのうち一つは文化部である放送部。
しかし、運動部であるもう片方の方、男子バスケ部はこの体育館を使わない。

...なんで?


気がつけばふらふらと体育館へ向かっていた。
怖くない、って言うのは嘘だけど、何となく気になった。
中学の時青峰っちから何気なく聞いた黒子っちの例の事もあって少し興味があった。

ゴールにボールをぶつけたっぽい音が聞こえてくる。
何だ、やっぱ誰かが練習してんじゃん。

ちょっとワクワクしながら覗いて見た次第である。

「マジか...」

誰もいない。
て、事はあの噂は...?

背中に変な汗が流れた気がした。

「誰か...居るンスか?」


勇気を振り絞って口から発されたのは、震えてかすれた実に情けない声だった。
ガタガタなったかと思えば音が止む。

しん、とする体育館。

ヤバイかもしれない。
引き返そうとしたまさにその時、ころころと何かが転がってきた。
俺の足元に当たったのは、よく見慣れたバスケットボール。

逃げ出そうと思ったが、足が動かない。

本格的にヤバイかもしれない。
動けぬまま、俺は金縛りにあったかのように固まり、足元のボールに目を見やるだけだった。

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りた。(プロフ) - ひとみさん» 一気に…!?お疲れさまでした、ありがとうございます!クラスマッチ編あともう少しで完結します…!これからもどうぞよろしくお願いします!がんばります!!! (2016年7月13日 8時) (レス) id: 60b76a6687 (このIDを非表示/違反報告)
ひとみ - 一気に読ませて頂きました!とても面白かったです!占いツクールにもこんな作品があるんだなぁと思いました( ˙˘˙ )応援しています! (2016年7月12日 23時) (レス) id: 5dddd6f71b (このIDを非表示/違反報告)
りた。(プロフ) - だおさん» ありがとうございます!黄瀬君にはちょっと格好悪く片思いをして欲しいと思いこうなった次第です。嬉しいです、励みになります!こちらこそ、これからも見守っていただけると幸いです、どうぞよろしくお願いします! (2016年6月25日 10時) (レス) id: c66c29cc58 (このIDを非表示/違反報告)
だお(プロフ) - 初めて見るような内容で楽しく読ませて頂きました(*^^*)これからも頑張ってください! (2016年6月25日 6時) (レス) id: d490ebbd79 (このIDを非表示/違反報告)
りた。(プロフ) - 桃さん» ありがとうございます!あくまで塩対応な夢主ちゃんのデレを早く書きたいなぁとただいま頑張っております!どうぞ温かく見守っていただけると幸いです。これからもよろしくお願いします! (2015年12月30日 14時) (レス) id: 066dfb27bb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りた。 | 作成日時:2015年12月5日 23時

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