好敵手7 ページ8
「と言う事で、競技はこれで決定です。」
LHR終了十分前。
クラスマッチ競技が全員決まったようだ。
黒板の白で書かれた“サッカー”の隣に連なる名前の中に、“黄瀬涼太”という四文字を確認。
自分の所属している部の競技には出られない、と聞いてた俺はこの結果にさほど驚きもしなかった。
サッカーなら、全然余裕。というか、運動なら負けねぇ。
そして、当然のように無意識に探す次の文字。
“天乃A”
あ、あった。
へぇ..そらっち、女子バスケか。
...え、バスケ!!?
思わず隣を凝視した。
隣の少女...もとい、そらっちは黒板を呆然と見つめ、真っ青な顔をしていた。
球技苦手、って言ってたッスもんね。
けして簡単とはない。
しかし、ドッジボールなどであれば小学校で昼休みにやることもあっただろうし、大人数だからカバーしてくれる子だっている。
しかし、バスケやバレーは話が別。少人数。そして、体育の授業でやっているはずそれなりにできる子とあまり出来ない子が分かれてくる。
そらっちは、完全なる後者の方なんだと思う。
覚悟はしていたはずなのに、このあと思い知る事になる。
“苦手”の本当の意味を...。
昨日決まったクラスマッチ競技。
優勝したクラスには、学食4割引券、フリーパス(期限半年)が全員もらえる。
選手のエントリー用紙も昨日のうちに提出され、皆がクラスマッチモード。
体育でも、クラスマッチ競技が始まった矢先だった。
「ちょ、ソラ...まじかよ」
体育館の中から、聞こえた女の子の声に反応し、のぞいてみると。そらっちと思われるポニーテールの子を発見した。
ドリブルしようと頑張ればボールがあっちこっちに飛んでいく。
ゴールはもちろん入らない。
その上、ボールを踏み転びかけ、ボールを追って走っていたところで足をもつらせ盛大に転んだ。
..そらっちにバスケ、ダメ絶対。
女子達もそう思ったらしく、申し訳なさそうな顔をしている。
「ソラ、昨日凄い嫌だ、ってみんなに言ってたもんね。聞いてもらえてなかったけど..誰かと変えてあげれば良かったな..」
高校に入ってまだ2ヶ月。
分からない事があるのは仕方ない。
でも、俺も真っ青なそらっち見てたのに..無理にでも反論すればよかった。
今更後悔しても遅い。
このまま、やりきるしかない。
それでも...。
ごめん...そらっち。
飛んで行くボールを追いかける背中に、ひたすら謝った。
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りた。(プロフ) - ひとみさん» 一気に…!?お疲れさまでした、ありがとうございます!クラスマッチ編あともう少しで完結します…!これからもどうぞよろしくお願いします!がんばります!!! (2016年7月13日 8時) (レス) id: 60b76a6687 (このIDを非表示/違反報告)
ひとみ - 一気に読ませて頂きました!とても面白かったです!占いツクールにもこんな作品があるんだなぁと思いました( ˙˘˙ )応援しています! (2016年7月12日 23時) (レス) id: 5dddd6f71b (このIDを非表示/違反報告)
りた。(プロフ) - だおさん» ありがとうございます!黄瀬君にはちょっと格好悪く片思いをして欲しいと思いこうなった次第です。嬉しいです、励みになります!こちらこそ、これからも見守っていただけると幸いです、どうぞよろしくお願いします! (2016年6月25日 10時) (レス) id: c66c29cc58 (このIDを非表示/違反報告)
だお(プロフ) - 初めて見るような内容で楽しく読ませて頂きました(*^^*)これからも頑張ってください! (2016年6月25日 6時) (レス) id: d490ebbd79 (このIDを非表示/違反報告)
りた。(プロフ) - 桃さん» ありがとうございます!あくまで塩対応な夢主ちゃんのデレを早く書きたいなぁとただいま頑張っております!どうぞ温かく見守っていただけると幸いです。これからもよろしくお願いします! (2015年12月30日 14時) (レス) id: 066dfb27bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りた。 | 作成日時:2015年12月5日 23時