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好敵手4 ページ5

「...マジッスか。」


職員玄関前にて。
届いた数学の教材...つまり、俺がこれから準備室まで運ぶ事になったそれらを見た俺は漠然とした。

...いくら何でも、多くないッスか?



こんなことになった理由はいたって単純。

窓際一番後ろは特等席。
昼休み終了後の午後一番、本日2コマ目の数学。
暖かい空気と太陽の光、小テストのあんまりすぎる結果、そらっちによるいつも通りのあしらい..そして場所の余裕など様々な理由はともあれ。結果、眠ってしまった俺は先生に見つかった。

ただ、それだけ。


...にしても、すごい仕打ちではないか。


2回に分ければ余裕で運べるこの量だが、1回で運ぶにはさすがにちょっとキツい。
特に、階段とか。
運ぶ場所がすぐ2階の職員室だったらまだしも。よりにもよって、別棟の理系準備室、しかも3階。
二往復するのは大変面倒くさい。

その上、今日はレギュラーのミーティング。

『遅れんなよ,黄瀬』
と、主将様..笠松先輩に名指しで釘をさされたため、遅れるわけにはいかない。


そこまで考えてため息を1つ。
そして、持ち上げられることを願いながらタワーのように積み重ねた教材を一気に持ちあげた。

...あ、行けた。

ちょっと前は見づらいけれど、足元を確認すれば大丈夫。
さすがに、前からくる人は避けてくれるはず。

グラグラと揺れるそれを崩さないように、それでいて少し速く。
持ち前の運動神経をフル活用させながら歩き出す。

あ、全然行けるじゃん。さすが俺ッスね!


先輩に足蹴されそうな内容で自画自賛。
心の中で得意げになりながら、階段を2、3段程上った時だった。

「あ、危ない!!」


前方から、切羽(せっぱ)詰まった声。
声に驚き立ち止まった瞬間、肩に凄い勢いで何かがぶつかった。

__ぐらり。



バラバラと落ちていく参考書。
普段なら普通に立っていられるはずなのに、持っているその山のせいでコントロールを失った身体。
ひやり、と背中に嫌な汗が流れた気がしたのはほんの一瞬。

後ろにかたむいた感覚がスローモーションで送られている気がする。


...ヤバイ。これはヤバイ。


反射的にぎゅ、と目をつぶった。

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りた。(プロフ) - ひとみさん» 一気に…!?お疲れさまでした、ありがとうございます!クラスマッチ編あともう少しで完結します…!これからもどうぞよろしくお願いします!がんばります!!! (2016年7月13日 8時) (レス) id: 60b76a6687 (このIDを非表示/違反報告)
ひとみ - 一気に読ませて頂きました!とても面白かったです!占いツクールにもこんな作品があるんだなぁと思いました( ˙˘˙ )応援しています! (2016年7月12日 23時) (レス) id: 5dddd6f71b (このIDを非表示/違反報告)
りた。(プロフ) - だおさん» ありがとうございます!黄瀬君にはちょっと格好悪く片思いをして欲しいと思いこうなった次第です。嬉しいです、励みになります!こちらこそ、これからも見守っていただけると幸いです、どうぞよろしくお願いします! (2016年6月25日 10時) (レス) id: c66c29cc58 (このIDを非表示/違反報告)
だお(プロフ) - 初めて見るような内容で楽しく読ませて頂きました(*^^*)これからも頑張ってください! (2016年6月25日 6時) (レス) id: d490ebbd79 (このIDを非表示/違反報告)
りた。(プロフ) - 桃さん» ありがとうございます!あくまで塩対応な夢主ちゃんのデレを早く書きたいなぁとただいま頑張っております!どうぞ温かく見守っていただけると幸いです。これからもよろしくお願いします! (2015年12月30日 14時) (レス) id: 066dfb27bb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りた。 | 作成日時:2015年12月5日 23時

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