人気モデルに勝つ方法。〈上〉【黄瀬涼太】

好敵手28 ページ29

「目立ちすぎｯスよ、放送部…」


ため息をついて小さく吐き出すと、残り五人は文句言いたげにこっちを向いていた。


「黄瀬君にだけは言われたくないかな」
「ほぼオメーが連れてきたんだろうが」


部長組が辛辣。


「それにしても、Aと黄瀬君のクラスも凄いねｪ…Tシャツ」

「あ、はい！これ、美術部の子が作ってくれたんですよ」
「気合い入ってるｯスよね」

「あー、両方ともこの二人も言ってたわｧ」


俺とそらっちは、“この二人”である部長組を振り返っ…


「「あ」」

「あはは、今気がついた？」


二人のTシャツはどこかで見覚えがあるモノだった。
チームカラーは“黒”

黒地に銀色で虎のプリントが入っていた。
その隣には、目立つわけじゃないけれどしっかり目に付く“下剋上上等”
後ろは虎の字を囲むようなクラス全員の名前

そう、デザインは明らかにうちのクラスと同じだ。


「白虎と青龍…？」

「そうそう、ソラ大正解！うちのクラスの美術部部長と二人のクラスの美術部員があわせて作ったらしいよ」
「へぇ…って、ユウマ部長のところ、すごく部長そろってますね！？」
「それ、俺も四月に思った。他にも、女テニ部長と文芸部部長、サッカー部部長までいるんだよ？笑っちゃうよねー」


笑いあう放送部コンビには花が飛んでいる。
小林さんも参戦して、楽しそうな事になっていて周りの女子生徒がシャッターを押す音が聞こえてくる。


「すごいｯスね…」
「まぁ、放送部は元々人気は高いからな…まあ、練習キツめだから部員はそうでもないけど」


森山先輩が苦笑いをした。
去年は二人とも同じクラスだったという笠松先輩も頷いている。


「…笠松先輩は小林さんとは喋れるんスか？」


女子苦手なのに。


「まぁ、そりゃ小林だし」
「小林って、基本的にはサバサバしてるし、その辺の男子よりも格好いいからな」


あぁ、なるほど。


「…ヨッシー、ユキオ！待たせてごめんよｫ！そろそろ行こうぜｪ。じゃ、準決勝で戦おうねｪ、Aー」
「はい、頑張ります！」


小林さんと燈多さんに声をかけられる我らがバスケ部の先輩二人。


「それじゃ、黄瀬。また後でな」
「了解ｯス！」


俺とそらっちに一声ずつかけて、四人は並んで歩き出した。
ほんっと、仲良いなあの人ら。

あぁいう絆みたいなのなんか憧れる。


「涼太、私達も行こう！」
「あ、はいｯス」

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