人気モデルに勝つ方法。〈上〉【黄瀬涼太】

好敵手13 ページ14

「そらっち、こっちッスよ！」

それから毎日、部活終了時刻過ぎの第三体育館にて、俺とそらっちによる特訓が始まった。

一日目には、ドリブルさえも出来なかったそらっちは、少しだけ進歩した。
シュートは初めは全く入らなかったものの、コツを掴むとめきめきと成功率をあげていき、現在は15回中１、２回は入るようになった。

確かに、周りから見たらまだまだだ。
それでも、開始してからまだ一週間ちょっとでよくもまぁここまで出来るようになったものだと思う。

そらっちは、誰から見ても努力家だ。
体育の時間は隅っこでさぼらず練習、放課後どんなに疲れていても必ず練習、おまけに土曜日の半日部活の後も少し練習しているらしい。

…すごくね？


それから、今更言わなくても分かることだけど、そらっちは“やっても出来なかった”んじゃなくて、“正しいやり方が分からなかった”だけだった。

本人は調べてたみたいだけど、人は皆違うのだから全員が全員同じやり方で絶対に出来るようになることなんて無いだろう。そんなんだったら、誰も苦労しない。

…つまりは、そういうことだ。


ふいに、そらっちが放ったボールが綺麗に弧を描いた。
そして、心地良い音を立ててゴールが揺れた。

本日、三回目の成功。
これは、合格。


「黄瀬、みた！？ねぇ、見てた！！？」


そらっちは、くるりと振り返りキラキラと目を輝かせた。
毎回思うけど何その反応、え、何それ？
可愛いな！！！！


「見てたｯスよ！今の完璧ｯスね！！」

「やっぱり！？よっしゃ！！」


小さくガッツポーズする彼女は嬉しそうで。
俺も自然と笑ってしまった。


とりあえず、

「一旦休憩にするｯスよ！」

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