好敵手10 ページ11
「誰か居るんだろ!!?」
動かない体に反するように俺は声を荒らげた。
誰かいるに決まってる。
カッコ悪いけど、それくらい俺はいっぱいいっぱいだった。
ゆっくりと中から音が近づいてくる。
足音だと信じる事にしようか。
だがしかし、逃げ出すことも出来ない。
もう幽霊でもオバケでも妖怪でも何でも来い!
覚悟はできた。
...が。
「...黄..瀬?」
ひょこり、と控えめに現れたのは女の子の顔。
ここにいるはずが無いとタカをくくっていた予想外の。
少し小さく申し訳なさそうな恥ずかしそうな顔をした...
「え、マジで..いや、なんで居るンスか、そらっち」
状況が飲み込めない。
「んと...えっと、その..それは、」
ストレートに聞きすぎたようで、そらっちは珍しく言葉をにごした。
そして、軽くテンパってる彼女の手にはバスケットボール。
まさか。
「もしかして...クラスマッチの?」
ぴくり、とそらっちの肩が震える。
どうやら当たっていたようだ。
俺の問に腹をくくったのか、そらっちがぽつり、ぽつり、と話し出した。
「私ね...球技全般苦手だけど、特にバスケとバレーは本気でできなくて..」
知ってる。
「それなのに私バスケになっちゃって..このままじゃ申し訳ないから、部活終わった後で男子バスケ部のカントクさんに聞いて、体育館と使わない備品借りて色々練習してたんだけど...」
“難しいね”
困った様な顔で笑うから。
“私、球技は無理そう”
少し泣きそうになって笑うから。
俺は..そんな顔、見たくない。
「...あ、もうこんな時間。片付けしなきゃ..」
時計を見あげくるりと身をひるがえし早足で片付けに向かうその背中。
...やることは決まった。
俺のやるべきことはよく分かった。
とりあえず今は。
「そらっち、俺も手伝うッス」
足元のボールを拾い上げて、ローファーを脱いで。
俺は彼女を早足に追いかけた。
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りた。(プロフ) - ひとみさん» 一気に…!?お疲れさまでした、ありがとうございます!クラスマッチ編あともう少しで完結します…!これからもどうぞよろしくお願いします!がんばります!!! (2016年7月13日 8時) (レス) id: 60b76a6687 (このIDを非表示/違反報告)
ひとみ - 一気に読ませて頂きました!とても面白かったです!占いツクールにもこんな作品があるんだなぁと思いました( ˙˘˙ )応援しています! (2016年7月12日 23時) (レス) id: 5dddd6f71b (このIDを非表示/違反報告)
りた。(プロフ) - だおさん» ありがとうございます!黄瀬君にはちょっと格好悪く片思いをして欲しいと思いこうなった次第です。嬉しいです、励みになります!こちらこそ、これからも見守っていただけると幸いです、どうぞよろしくお願いします! (2016年6月25日 10時) (レス) id: c66c29cc58 (このIDを非表示/違反報告)
だお(プロフ) - 初めて見るような内容で楽しく読ませて頂きました(*^^*)これからも頑張ってください! (2016年6月25日 6時) (レス) id: d490ebbd79 (このIDを非表示/違反報告)
りた。(プロフ) - 桃さん» ありがとうございます!あくまで塩対応な夢主ちゃんのデレを早く書きたいなぁとただいま頑張っております!どうぞ温かく見守っていただけると幸いです。これからもよろしくお願いします! (2015年12月30日 14時) (レス) id: 066dfb27bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りた。 | 作成日時:2015年12月5日 23時