軽薄 ページ8
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『おはようさん、スグル。さしぶり〜』
「や、Aさん。今はこんにちはですかね」
午後2時。太陽が高く昇っているのを視認した彼は、一つ伸びをして例の場所へ向かっていた。
お世辞にも新品ピカピカ、綺麗とは言えないアパートを登って、変哲のない扉を開けた。
___そしてその風景は一変し、太陽が煌びやかに海面に反射する砂浜になる。
これには毎回驚かされる物だな、とぼんやり考えながら1人立っていた人物に声を掛ける。
少しズレた挨拶と共に笑顔を向ける。
夏油も笑顔で出迎えてくれた。
『何だかんだちゃんと会うのは2.3回目か?』
「あはは、何言ってるんですか?高専に居た時に嫌という程会ったはずですけど」
『ははっ、偽モン風情がまぁぬけぬけと』
先程の笑顔から一変、夏油の額にある大きな痕を睨み付ける。
その様子を見た夏油は少し目を丸くし、微笑んだ。
「キッショ。なんで分かるんだよ」
『俺の魂が否定してる、なんてクサイ台詞言ったら満足?』
「ジョークとしては上出来だね」
変わらない胡散臭さを放つ笑みに内心毒づきながら、本題に入る様に促す。
こんなことを話すために来たのではない。
夏油はそうだったね、と真剣な顔持ちで語り始める。
正体がバレたからと呆気なく猫被りをやめた夏油に彼は若干引いた。
「と、その前に。五条悟には会ってないよね?」
その問いに彼は間髪入れずに頷いた。
元々、彼は夏油に会うつもりがなかった。
が、先日いつもの様に人を殺していたら突然夏油がやってきたのだ。
勿論、気配には気付いていたので特に驚きもしなかったが。
そして、ピラリとポケットに入れられた小さな紙を渡してどこかへ行ってしまった。
小さな紙には
午後2時、アパート
五条悟には会うな
と必要最低限の事だけが書かれてあった。
下にはご丁寧に地図が書いてある。
日にちくらい書け、と頭を掻きながら彼が言う。
お陰でいつ行こうかと少し思案してしまった。
書いてないならいいかと手頃な時に向かえば、いつものヘラヘラ笑顔で出迎えられて青筋がたってしまった。
報連相という言葉を是非知ってもらいたい。
夏油はそれを気にもとめず、上っ面の謝罪を浮かべた。
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チョコドーナツ(プロフ) - うわぁぁぁなにこれ主人公絶対アニメ出てたら推しですよ!!??めっちゃ面白いです! (12月27日 20時) (レス) @page19 id: 915577a7d1 (このIDを非表示/違反報告)
焼き鮭(プロフ) - 凄く面白いです!更新待ってます! (2022年12月11日 20時) (レス) @page19 id: 64769613b0 (このIDを非表示/違反報告)
ただのバカです - 更新されて、ない…だと…。地味に五条先生ブラコン?続き出るまで待ってます。 (2022年11月6日 1時) (レス) id: 37480b1f74 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - 更新ありがとうございます!ずっと待ってました!男主くんやっぱかっこいい… (2022年2月17日 1時) (レス) id: 22f9a03643 (このIDを非表示/違反報告)
J - 作品最高です!日々の疲れを癒すために読みます!これからよろしくお願いします!! (2021年3月10日 7時) (レス) id: 42cc688081 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:てふ x他3人 | 作成日時:2021年2月16日 16時