【呪術廻戦】 呪詛師の方の五条 【男主】

捕獲 ページ7

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今日は喫茶店でも行こうかと思ってたのに。
人殺しが呑気にお茶してるなんて一体どこのB級ドラマだろうか。

なんて、戦闘態勢に入っている黒髪の子を見ながら彼は呑気に考えていた。

ぶらぶらと歩いていたら彼の式神にやられていつの間にかお縄の中。
それは捕まってみるのも楽しいかも、なんていう考えの元ではあったが。

今日は断念し狐のお面を被っている。
家には沢山のお面がある。それを選ぶのもまた一興なのだ。


『で、GLGの俺を捕まえた禪院家に売られかけた伏黒恵クンは何がしたいの？』
｢…！やっぱり五条先生のお兄さんですよね｣


目付きを鋭くした伏黒とは相対して笑う彼。

それもそのはず、2人は初対面ではない。

伏黒恵の父から聞いた【二三年後に禪院家に売られる子供(ガキ)】の話を聞いた悟に彼は着いてったからである。

伏黒とは会っているのは数回程度だが、悟と正反対過ぎる見た目なのに兄弟だなんて嫌でも記憶に焼き付けられる。


『うん、さしぶり。…突然だけど、恵クンって時間稼ぎ苦手だよねぇ』


訪れた静寂を制するように彼が声を紡ぐ。

その言葉に伏黒がピクリと反応する。
わかり易すぎる。

伏黒はいわば悟が到着する迄の時間稼ぎの役。
が、口下手である伏黒は難題であった。


それに、彼は腐っても元呪術師。
その辺のやり口は彼自身もやった事があった。
ましては五条悟なんていう親族。
十何年間も一緒にいた人の気配なんて覚えてる。

その気配が此方に全速力で近ずいている事も。


『悟も、トんでくればいいのにね』
｢…嫌味ですか｣
『まさか』


更に目付きを厳しくした伏黒にぺろりと舌を出して視線を逸らした。
この作戦に応じた伏黒は勿論彼の情報を悟から聞いていた。

彼の術式、容姿、好きな物、女性のタイプ…
最後ら辺はどうでもいい情報だったので聞き流していたが。

彼の術式で“トぶ”のは無効化され、此方に来るには走るしかない。

それを知ってか否か…いや、知っているだろう。
本当に面倒な術式だと伏黒が肩を竦めた。


『そりゃ俺だって生き別れの弟と再会！なんて感動ストーリーやりたいけどさぁ…』


今は不味いんだよね。
そう不穏に笑った彼は、確かに自身の手に結われていた縄を容易にとる。

じゃ、軽く手を振って居なくなった。
伏黒はそれを見て、は、と小さく声を漏らした。

動けなかった。
まるで狐につままれたように。

残された紐を見て、舌打ちを零した。

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