158.花琳 ページ10
花琳は娼館の三姫の一人である。老舗妓楼の最高級妓女に上り詰めるには、どんな努力が必要だったかわからない。だが、花琳は自分が今の地位にいるのは、自分に知識を教えてくれた
現在、三姫である三人の妓女はすべて同じ大姐に雇われていた。
「せっかくいいところ勤められるんだ。しっかり稼いでくるんだよ」
先ほどまでの木簡を投げつけた乱暴な小姐でなく、優しい面倒見のいい小姐がいた。ゆっくりと爪紅をつけた指先でAの頬を撫でると乱れた横髪を耳にかけてくれた。
『……はい』
Aが素直に返事すると、花琳はにっこりとたおやかな笑みを浮かべる。
「んでもって、いい旦那でも見つけてくるんだよ。場所が場所だけに、有望株はたくさんいそうだから。ああ、ついでに上客もつれてきてくれるとうれしいわ」
先ほどまでの優しい笑みとは違い、少々腹黒さが混じっている。
くくくっ、と笑う花琳小姐は、どこかやり手婆に似ているな、とAは思うのだった。妓女になるということはしたたかでなくては生きていけないからそんなものである。
結局、Aは大風呂敷に衣や化粧道具一式を詰め込まれて持ち帰る羽目になった。帰り道、他の妓女たちにもいろいろ手土産を持たされ、一方的に新しい客を連れてくるという約束をさせられたAは、重い荷物によろめきながらあばら家へと帰るのだった。
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佐倉(プロフ) - しずくさん» ありがとうございます…!!モチベいただきました!!т т (2月23日 22時) (レス) id: b1ac26aba9 (このIDを非表示/違反報告)
しずく(プロフ) - 最近薬屋のひとりごとハマったのでとても更新楽しみですー!頑張ってくださいー!!! (2月19日 4時) (レス) @page17 id: 4b943a174f (このIDを非表示/違反報告)
佐倉(プロフ) - マラカスさん» 教えて下さりありがとうございます。すみません。 (12月21日 18時) (レス) id: b1ac26aba9 (このIDを非表示/違反報告)
マラカス(プロフ) - オリジナル作品ついてます (12月21日 15時) (レス) @page7 id: 66680d8fcb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佐倉 | 作成日時:2023年12月21日 7時