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151.殺人 ページ3

Aは気づいたことの確信に迫りながら貯めてあった水の水面を見つめた。
すると爺がAの頭を優しく撫でる。

「もう、終わったことだよ」

『……わかってる』



*



Aは事件の起きた妓楼まで走っていた。

『(…これは心中じゃなく、殺人だ。しかも殺そうとしたのは妓女の方だった)』

息をきらしながらもAは考えることをやめない。

『(犯行に使われたのは煙草を漬けた酒。問題は妓楼に護衛をつけるほど警戒している男にどうやって毒を飲ませたか。簡単だ。妓女が毒味して見せればいい。妓女の無事を確かめれば男は酒を口にする。しかし、実際に毒酒(どくしゅ)を飲めば、妓女も無事ではいられない。そこで小道具を使った。酒は二種類、器は一つ。色や重さ、濃さの違う二つの酒は水と油にまではいかなくとも分離する)』

曲がり角を曲がり、Aは走り続けた。真相を並べながら。

『(透明な硝子に層ができて見た目がいい。客を喜ばせる小ネタとして使ったのだろう。女はその下の層だけを麦藁で飲んでみせた。普段から使われているそれに疑問を持たぬまま。男はそれを上の層から口で飲んだ。男が倒れたことを確認すると毒酒の匂いを誤魔化すために吸っていた煙草の葉を辺りに撒く。煙草の葉を使った心中だと思わせる偽装工作だ。それが済めば妓女も上澄みの酒を飲む。死なないように少しの量を。殺人は自分が死んだら元も子もない。男が死に、自分が生き残る計算をした上で朝方にことを起こしたのだろう。)』

そして、都合よくそれを発見する人間がいた。

そこまで考えてAは窓から顔を出し、鼻歌を歌っている倒れた妓女を見つめた。

『(…起きたか)』

152.憶測→←150.見逃したもの



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佐倉(プロフ) - しずくさん» ありがとうございます…!!モチベいただきました!!‬т т (2月23日 22時) (レス) id: b1ac26aba9 (このIDを非表示/違反報告)
しずく(プロフ) - 最近薬屋のひとりごとハマったのでとても更新楽しみですー!頑張ってくださいー!!! (2月19日 4時) (レス) @page17 id: 4b943a174f (このIDを非表示/違反報告)
佐倉(プロフ) - マラカスさん» 教えて下さりありがとうございます。すみません。 (12月21日 18時) (レス) id: b1ac26aba9 (このIDを非表示/違反報告)
マラカス(プロフ) - オリジナル作品ついてます (12月21日 15時) (レス) @page7 id: 66680d8fcb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:佐倉 | 作成日時:2023年12月21日 7時

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