167.寒い季節 ページ19
『(暇人だとずっと思っていたけど)』
それほどかの貴人こと壬氏は暇ではなかったらしい。むしろ忙しいほうなのだな、と猫猫は思った。後宮の仕事だけかと思いきや、他の仕事もやっているようである。
Aと猫猫の仕事は、午前中は壬氏の執務室の雑用、午後は宮廷にある壬氏の私室の雑用になる。私室とはいえ、大きさは
壬氏が気難しい顔で書類をにらんでいる。Aは部屋の隅で
『(売れば小遣い稼ぎになるんだけどな)』
悪いことを考えつつも、仕事だと言い聞かせて燃やしに行く。壬氏の執務室を出て、広大な宮廷内の隅、軍部の訓練場や蔵があるところだ。そこにごみ焼き場があるので燃やすのだ。
『(軍部ねえ)』
猫猫が異常なまでに嫌がるので正直あんまり行きたくないのだけれど行かなくてはならない。お仕事と割り切って腰を上げると、肩に何かがかかった。
「外は寒いので、これを着てください。下女用のものですが」
まめで気がきく高順が猫猫に綿入れを一枚かけてくれた。外は小雪がちらついており、木枯らしの音が聞こえた。火鉢をいくつも置いた暖かい部屋にいると忘れがちだが、まだ年をこえてひと月もたっていない。一年で一番寒い季節である。
『…ありがとうございます』
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佐倉(プロフ) - しずくさん» ありがとうございます…!!モチベいただきました!!т т (2月23日 22時) (レス) id: b1ac26aba9 (このIDを非表示/違反報告)
しずく(プロフ) - 最近薬屋のひとりごとハマったのでとても更新楽しみですー!頑張ってくださいー!!! (2月19日 4時) (レス) @page17 id: 4b943a174f (このIDを非表示/違反報告)
佐倉(プロフ) - マラカスさん» 教えて下さりありがとうございます。すみません。 (12月21日 18時) (レス) id: b1ac26aba9 (このIDを非表示/違反報告)
マラカス(プロフ) - オリジナル作品ついてます (12月21日 15時) (レス) @page7 id: 66680d8fcb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佐倉 | 作成日時:2023年12月21日 7時