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159.再就職 ページ11

後宮をでて半月後、麗しき貴人が花街に現れたのは記憶に新しい。
物好きな宦官は、冗談めいて言ったAの言葉を鵜呑(うの)みにしてくれた。借金の肩代わりとしては、十分おつりがくる金子をやり手婆の前に広げて見せ、手土産には冬虫夏草(とうちゅうかそう)という気の配りようである。契約書に判を押すのに四半時(さんじゅっぷん)もかからなかった。

よって、Aはまたやんごとなき場所にてお勤めをすることとなる。爺やお袋を置いたまままた住み込みで働くことになるのは、少々気が引けるが、契約書を見る限り以前よりもずいぶん規則がゆるくなっているようだ。まあ、前のようにどこにいるかもわからない行方不明の状態というわけではないので、爺は「好きにしなさい」と柔和な笑みを浮かべていた。だが、契約書を見た際、一瞬表情を曇らせてAを見たのはどういうことだろうか。まあ、爺にとってあまり良いイメージがない場所でのつとめなのでそのような顔をしたのかもしれない、と深く考えないことにした。世の中、深く考えても結局無意味なことは多いのだ、考えるだけ無駄である。

「ずいぶん貰ったねえ」

おっとりとした口調のお袋は、大鍋で薬草を煮ながら言った。
隙間風が入るあばら家は、(かまど)に火をつけていてもまだまだ寒く、Aと爺は服を何枚も重ねて着ている。

『あんまり荷物持っていけない』

Aは、すでに準備をしていた荷物を見る。すり鉢に薬研(やげん)、薬草の種類を書き留めた帳面に必要最低限の衣服や下着。

『(すり鉢も薬研も絶対必要だし、帳面も絶対いる。だけど、これ以上、下着を減らすのは)』

Aが眉間にしわをよせながら唸っていると、お袋が鍋を竈から下ろすと猫猫に近づいてきた。

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佐倉(プロフ) - しずくさん» ありがとうございます…!!モチベいただきました!!‬т т (2月23日 22時) (レス) id: b1ac26aba9 (このIDを非表示/違反報告)
しずく(プロフ) - 最近薬屋のひとりごとハマったのでとても更新楽しみですー!頑張ってくださいー!!! (2月19日 4時) (レス) @page17 id: 4b943a174f (このIDを非表示/違反報告)
佐倉(プロフ) - マラカスさん» 教えて下さりありがとうございます。すみません。 (12月21日 18時) (レス) id: b1ac26aba9 (このIDを非表示/違反報告)
マラカス(プロフ) - オリジナル作品ついてます (12月21日 15時) (レス) @page7 id: 66680d8fcb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:佐倉 | 作成日時:2023年12月21日 7時

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