149.理不尽 ページ1
「この子の姉が別の店で働いていてね、あの男に身請けされる予定だったの。嬉しそうな手紙まで届いてた」
そう言って妓女はまだ泣いている禿の頭を撫でながらどこか切ない顔をした。
「…なのに、急に身請けを白紙にされてこの子の姉は自 殺してしまった。口説いては身請けをほのめかして飽きたら捨てるを繰り返しているような男なのよ。そんなだから、恨みばっか買って、逆上した女に刺されそうになったり、毒を盛られたこともあったわ」
そこまで言って妓女はでも…。と目を伏せる。
「豪商の父親に甘やかされて、その度に金で解決してきた。最近では親に頼んで
禿はまだぐずぐずと鼻水をすすりながら泣いている。それ以上なにも言わない妓女にAは目を細めた。
『(…だから?禿が男を殺そうとしたことは目を瞑れと?同情で口止めか)そんな客なら、出入り禁止にすれば良かったでしょう』
「入れ込んだのはあの娘の方なの。甘い口車にのせられて」
『…妓女が男に入れ込んで心中騒ぎとは娼館としては頭が痛い話ですね』
そこまで話してAはやり手婆が客用の茶菓子を出していたことを思い出す。
『(…やけに手厚い歓迎だったのは豪商の息子を自分の店で殺さずに済んだからか)』
そして、目障りな客の生還に安堵する周りの声が禿には理不尽に感じた。
えぐっえぐっと妓女に顔を押し付けて泣いている禿を見てAははぁ。と小さくため息をつき、
『…わかりました』
と頷いた。
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佐倉(プロフ) - しずくさん» ありがとうございます…!!モチベいただきました!!т т (2月23日 22時) (レス) id: b1ac26aba9 (このIDを非表示/違反報告)
しずく(プロフ) - 最近薬屋のひとりごとハマったのでとても更新楽しみですー!頑張ってくださいー!!! (2月19日 4時) (レス) @page17 id: 4b943a174f (このIDを非表示/違反報告)
佐倉(プロフ) - マラカスさん» 教えて下さりありがとうございます。すみません。 (12月21日 18時) (レス) id: b1ac26aba9 (このIDを非表示/違反報告)
マラカス(プロフ) - オリジナル作品ついてます (12月21日 15時) (レス) @page7 id: 66680d8fcb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佐倉 | 作成日時:2023年12月21日 7時