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「 ロボロ先輩、何で髪切ったんですか?噂だと、福冨( ふくとみ )先輩が絡んでるって本当ですか? 」
何故、切ったのか。話題の中心になっていたロボロ先輩。だが、答えは至って単純なんだそう。ロボロ先輩が片思いしていた福冨先輩が、「 私は短髪のロボロ君が好きかな、 」と誑かしたから、それにまんまと引っ掛かって、髪を切ったらしい。これは噂だから、信じていないけど、もしも本当なら、その福冨とか言う奴を、華やかな校庭から探し出して、問い詰めたい。
「 誰が流したんや、それ…… 」
「 本当の所はどうなんですか?福冨先輩に、短髪が好きって言われたから、切ったんですか? 」
「 例えそうだとしても、関係ないやん。何でそんなに、髪に拘るん?長い方が、好きやった? 」
「 ……そりゃあ、長い髪のロボロ先輩しか知らないから。短い髪の先輩は、知らないから…… 」
似合ってる。だけど、ロボロ先輩のステータスは、その綺麗な黒髪な訳で。そんな女の一言で、髪を切ってしまう位、女に弱いのだろうか?それでは何故、私には振り向いてくれなかったのだろう。
「 福冨が、短い方が好きって言うから、切った。俺、福冨が好きやから。 」
世界が真っ白になった気がする。耳鳴りがした気がして、目を閉じた。嘘って言って。お願い。嘘って、言って。
「 今から福冨に告白してこようと思う。応援してくれる? 」
知ってたんだ。私が最初から、ロボロ先輩の事が好きな事。振るのは忍びないから、私に先手を打たせなかった。だから、私より先にカミングアウトした。私がロボロ先輩に告白してからだと、全てが遅いから。この気持ちを打ち明けなければ、私達は何の変哲もない、ただの先輩と後輩でいれるから。ロボロ先輩はそっちの関係の方が、良いから。
「 ……応援してます。 」
「 有難う。 」
ロボロ先輩は絶望に浸る私に見向きもせず、空き教室から出て行った。窓から校庭を見ていると、ロボロ先輩が輪の中心にいた福冨先輩に声を掛ける。周りが察したのか、揶揄う様な声を掛けていた。
ロボロ先輩の青春に、私の名前はない。刻まれない。床に落ちていた黒いヘアゴムを拾う。何処にでもあるヘアゴム。何処でも買えるヘアゴム。なのに、特別だったヘアゴム。ロボロ先輩の物だから、特別なヘアゴム。
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紗枝(プロフ) - 燐乃さん» コメント有難う御座います!嬉しいお言葉、本当に感激です。リクエスト、有難う御座います🥲 了解致しました。お時間が掛かってしまうかもしれませんが、書かせて頂きます😊 (6月8日 21時) (レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
燐乃(プロフ) - 紗枝さんの書く夢小説、いつも楽しく読んでいます。巧妙なストーリー、綺麗な描写が大好きです。リクエストなのですが、学パロでshaさん(もしくはtnさん)にひたすら嫌われる話を見てみたいです。夢小説と言えるかわかりませんが、ご検討よろしくお願いします💞 (6月8日 20時) (レス) id: 8dc2c8aa68 (このIDを非表示/違反報告)
紗枝(プロフ) - ちびさん» ちびさん、前にもコメント下さったのに、今回もコメント有難う御座います!リクエストもとても嬉しいです😳💗 了解致しました。時間が掛かってしまうかもしれないのですが、頑張らせて頂きます☺ (6月8日 13時) (レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
ちび - とてもストーリー、文字の使い方が繊細でだいすきです。リクエストなのですがshpで学パロ主さんの書く純愛が見てみたいです。 (6月8日 7時) (レス) @page38 id: 3cdb4a4830 (このIDを非表示/違反報告)
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