✍ しあわせ ページ45
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〔 しあわせ ⇨ ショッピ 〕
「 何があっても大丈夫。私達なら、大丈夫。 」
Aは俺の手をギュッと握った。何時もならその体温を感じると落ち着くのだが、今日ばかりは落ち着けなかった。
「 行くよ、ショッピ。 」
覚悟を決めた様なAの声に、俺は何も反応出来なかった。頭が真っ白なのだ。用意して来た台詞が全て、ドロドロと溶けていく感覚がした。失敗したら、怒られる。殴られる。殺される。
「 ……心苦しいわ。 」
真っ暗なトンネルの中を歩く。俺とA以外、誰も此処に居ない。足音が噛み合わないまま、反響だけが続く。
「 何が？ 」
「 騙すの、心苦しいねん。 」
「 騙す？何を？誰を？ 」
尖った物言いに、心臓がギュンと小さくなった気がした。怖い。でも、俺にそんな事を言える権利は無い。
「 Aのご両親を…… 」
「 騙してないでしょ。隠してるだけ。本当に大切な事を、話さなかっただけだから。 」
前を歩いていたAが振り返る。ハイライトの無い瞳はトンネルの闇に消されて、更に生気が無い様に見えた。
「 話したら、私達は一緒に居れなくなる。こんな小汚いトンネルの中だって、私は歩けなくなる。そんなの、耐えられないでしょ？だから、こうするしか無かったの。 」
Aの半狂乱に近い声明が、耳にギャンギャンと刺さった。泣きそうになるのを堪えて、頑張って歩く。トンネルの向こう側に光があると信じて。
「 私に何か、隠してるんじゃない？ 」
同棲をして11ヶ月経った時だった。7ヶ月前に付き合い初めてから、互いの年齢に考慮して、早々に同棲を始めたのだ。そんな中、Aは重たい口を開いた。
「 ショッピ、自分の事をあまり話さないから私も知らない事が沢山あるんだけど、これはどう言う事なの？ 」
AがSNSのとある掲示板の画面を見せて来る。そこには俺の住所と本名と電話番号等の、個人情報が全て載っていた。
「 普通に生きてたら、誰かに晒されたりしないよね？何で、こんな風になってるの？ 」
俺がひとりなら、どんな晒し者にされても構わなかった。だが、今はひとりじゃない。同じ家に、俺以外の人物が暮らしている。そして、彼女は俺の全てを知らない。
「 別れた方がええと思う。俺と居ると、こう言う事が付き纏うから。 」
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紗枝(プロフ) - ちびさん» こんばんわ。温かいコメント有難う御座います。本当に嬉しいです☺ " はくしき "とても思い入れのある作品です。そんな風に言って下さって、光栄に思います。これからも度々、覗きに来てくれると嬉しいです💐 (5月30日 3時) (
レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
ちび - この短編集から貴方様の事を知りました。とても文が好きで文字の使い方が好きです。とくに「はくしき」が何か胸にもやっとくるような不思議な気持ちになりましたとても好きです😢✨これからも応援してます。 (5月29日 21時) (レス) id: b1c4d4a663 (このIDを非表示/違反報告)
紗枝(プロフ) - 大神さん» こんばんわ。通知に紛れてしまい、反応が遅くなってしまいました。申し訳御座いません。お優しい言葉、言葉にならないくらい嬉しいです😊 これからも見守って下さると嬉しいです🥰🥰 (5月21日 22時) (レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
大神(プロフ) - zmさんの小説を読んでから全ての作品を読ませて頂きました。どの作品も心に刺さりましたが、この短編集が特に好きです。こんなに自分好みの小説を書かれる方に初めて出会い、言葉にならないくらい好きです。これから応援しております。 (5月20日 12時) (レス) @page37 id: 48f5acd833 (このIDを非表示/違反報告)
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